保育士(保母)資格だけでは働けない?保育士登録の方法を徹底解説
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 保育士登録の方法を知りたい方
対象者は続きをお読みください。
学校を卒業したり、試験に合格したりして保育士資格証明書を得たとしても、すぐに働き始められるわけではないことをご存知でしょうか?
ここでは、実際に保育士として働くために必要な手続きについて解説します。
保育士資格は働く前に行政への登録が必要
保育士資格(以前の名称は保母資格)を持っていれば、保育所で働けたというのは10年以上前の話です。
平成15年11月29日に児童福祉法が改正され、 保育所で働く人は、資格を有した上で各都道府県知事に保育士として登録申請手続きを行い、保育士証の交付を受けなければ働くことができなくなりました。
この改正法では登録義務のほかに、「保育士」やこれと似た名称を使用して児童の保育を行ったものに対する罰則が設けられるなど、保育の現場において保育士の地位を明確にする変更が加えられています。
保育士登録。具体的な手順は?
保育士の登録を請け負うのは都道府県知事から委託を受けた「登録事務処理センター」 です。
ここでは、新規登録の方法を公式サイトに掲載されている5つのステップを元に解説していきます。
STEP1
「保育士登録の手引き」の取り寄せ
まずは 登録事務処理センターから、申請書等がセットになっている「保育士登録の手引き」を取り寄せる 必要があります。
郵送でやりとりを行うため、以下のものを用意しましょう。
- 返信用封筒 1枚(角型2号)
- 返信用封筒に貼る切手(1部の場合は140円、速達希望の場合は420円)
この2つを登録事務処理センターに日本郵便を使って郵送します。宅配便の企業が行っているメール便は不可です。
郵送の際の代金などは、申請者が負担します。
STEP2
手数料の振込み
「保育士登録の手引き」が届いたら、まずは同封されている払込用紙を使って郵便局に支払いに行きます。
料金は登録ひとりあたり4,200円。
支払いにATMは使用できないので、窓口で行いましょう。
STEP3
申請に必要な書類の用意
申請を行うためには、以下の書類が必要になります。
保育士登録申請書
「保育士登録の手引き」に同封されています。
振込払込受付証明書
STEP2で支払いを済ませると、支払ったことを証明する紙片をもらえるので、これを保育士登録申請書に全面糊付けします。
保育士となる資格を証明する書類の原本
これは、 保育士の資格をいつ、どのように取得したかで変わります。
近年取得した人でいえば、指定保育士養成機関を卒業後に科目履修等で保育士養成課程を修了した場合は「保育士養成課程修了証明書」、保育士試験に合格した人は「保育士試験合格通知書」の原本が必要です。
詳しくは登録事務処理センターの 公式サイト を参照してください。
戸籍抄本
STEP4
申請書類の提出
STEP3までで必要な書類をすべて揃えたら、申請書類一式を指定の住所に郵送します。 センターでは窓口業務を行っていないため、持ち込みはできません。
必ず郵便局の窓口に行き、簡易書留郵便で送るようにしてください。
STEP5
保育士証の交付
書類がセンターに届いたら、書類の審査が行われます。
その後問題がなければ各都道府県の保育士登録簿に登録が行われ、申請者には保育士証が交付されます。
保育士証は、書類の不備等がなければ 申請からおよそ2ヶ月ほどで交付 されます。
書類に関する詳しい情報や、申請先住所等は登録事務処理センターの 公式サイト を確認してください。
保育士登録に関するQ&A
最後に保育士登録に関する代表的な疑問をまとめました。
しっかりと読んで、できるだけ早く登録をしておくようにするとよいでしょう。
Q
保育士として勤務する予定がなくても登録は必要?
A 保育士登録および保育士証は、保育所に勤務する際にのみ必要です。
そのため、 今後保育士として勤務をしないというのであれば登録をする必要はありません。
ただし、前述の通り申請から交付までは2ヶ月から3ヶ月程度かかるので、先々少しでも就業の可能性があるのならば、
Q
保育士登録をしないと保育士の資格を失う?
A 登録をしないと保育士資格を失うとか、保母という名称の頃に取得した資格はすぐに登録しないと資格が失効してしまうなどの情報が一部に流れていますが、それは誤りです。
登録をしないと就業はできませんが、
登録をしなかったからといって、過去に取得した資格が無効になることはありません。
Q
資格取得後、いつまでに手続きをすればいいの?
A 資格取得から登録までの間に期限はありません。
取得したばかりの人でも登録できますし、反対に保母という名称の頃に資格を取得した人でも登録可能です。
ただし、資格を持っている人が犯罪を犯して禁固刑に処された場合などは登録ができなくなります。
Q
登録する都道府県はどこを選べばいい?
A どのように資格を取得したかによって登録を行う自治体が変わります。
保育士試験に合格した人は、保育士試験を合格した都道府県に登録をしてください。
一方、指定保育士養成施設を卒業した人は、申請書を提出した時点で住民票をおいている都道府県に登録を行います。
Q
登録した都道府県以外では働けないの?
A 登録をどの都道府県で行ったとしても、全国どこの保育所でも働くことができます。
Q
資格を証明する書類はコピーを提出してもいい?
A コピーでの申請は不可 です。
必ず原本を添付してください。
Q
提出した書類は戻ってくる?
A 証明書のうち、 平成15年11月29日(改正児童福祉法施行日)以前に取得したものについては、保育士証が郵送される際に一緒に返却 されます。
Q
資格を証明する書類を紛失したんだけど……。
A 資格証明書を発行した機関に申請すれば、再発行または資格を取得したことを証明する書類を発行してもらえる ので、こちらを取り寄せるようにしてください。
ただ、退職が認められたときに、退職関係の書類の提出はしなければなりません。
Q
資格を取得した当時と姓が変わっています。
A 前述の通り、必要申請書類には戸籍抄本があります。
結婚などで姓が変わっていたとしても、戸籍に記載されているため問題はありません。
なお、 申請書には必ず現在の氏名と本籍地を記載 するようにしてください。
Q
登録をしたあと、更新は必要?
A 一度保育士登録されれば、更新の必要はありません。
ただし、保育士証の紛失・汚損、氏名や本籍地の変更、犯罪を犯すなどして保育士資格が喪失してしまった場合などは手続きが必要になります。
Q
就職活動の際、履歴書にはどう書けばいい?
A 特に決まった書き方があるわけではありませんが、 資格を取得したことと登録をしたことは別々に記載しておいたほうがよい でしょう。
たとえば保育士試験に合格して資格を得た人は資格の欄にー
平成○年○月 | 保育士資格取得 |
---|---|
平成○年○月 | 保育士登録 |
ーと書いておいたほうが、採用担当から見ると登録がすでに済んでいるということがひと目でわかるので親切です。
Q
保母資格を持っています。保育士資格に切り替えないと働けないって本当?
A 現在の保育士資格はかつて保母資格と言われていました。
しかし、この名称だと女性だけしかなれないようなイメージを与えてしまうため、名称が変わって保育士と呼ばれるようになりました。
一部では「保母資格は古い資格だから保育士資格に切り替えないといけない」などと言われていますが、これは誤り。
働くために保育士登録は必要ですが、 保母資格証明書を提出すれば保育士として登録可能 です。