保育の食育の狙いや目標。楽しい雰囲気で楽しく食べるために

このコンテンツでは下記の方が対象です。

保育の食育のことを勉強したい保育士さん

対象者の方は続きをお読みください。

保育士の今出川麗子です。

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  • 保育の食育のことを勉強したい保育士さん

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毎日の生活に欠かせない 『食事』

保育園では毎日給食の時間になると、お友達と机を囲み楽しくお話をしながら食事を頂きます。

お友達や先生と食べる食事の時間は楽しいものと思われがちですが、中には偏食や少食で園での食事の時間に苦手意識を持つ子どもさえいます。

現代の子どもの食育の問題として『食』が挙げられます。

  • 一人で食事をする孤食
  • みんなでいるのに全員バラバラなものを選んで食べる個食
  • 自分の好きなものだけを食べる固食
  • 食べる量が少ない小食
  • パンやパスタなど粉ものばかりを食べる粉食

保育園では栄養士が考えた栄養バランスの整った食事を、クラスのみんなで同じ空間で食べますが、ただ食べるだけでは意味がありません。

食事の時間を通して身体だけでなく、心や精神面の発達を促すのが保育士としての努めでもあります。

【保育の食育とは?】

厚生労働省から出された『食育基本法』ではこのように述べられています。

  • 子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である
  • 子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。

引用元:厚生労働省:食育基本法前文より

保育の現場では『食』を通して、子ども達の心身の発達を『育む』ことが求められています。

また、 『食』に関する知識やバランスの良い食事を、自分で選べるよう知識を身に付けさせることも必要です。

食は得意です
美味しそうに食べるもんね
なんでやねん!!
・・・・・え!?

【保育の食育の狙いと目標】

みんなで食事をすることの楽しさを感じ、食事の時間を楽しめるようにする。

家庭では、事情により一人で食事をすることが多い子どもも少なくありません。

保育園では、お友達や先生と一緒に食事をすることで美味しさを共感したり、会話を楽しんだり出来るようにします。

好き嫌いをせず、栄養バランスの整った食事を自ら食べられるようにする。

近年、子どもの偏食は深刻化しています。

家庭の食事では、子どもの好きな食材しか食べさせなかったり、子どもがジャンクフードやインスタントを好んで食べたりする傾向もあります。

保育の現場に出てみると、野菜は一切口に出来ないという子どもも少なくありません。

園では専門の栄養士が献立を考えているので、その食事を自ら食べられるよう声掛けなどの援助が必要です。

それぞれの食材の特性や役割を教え、バランスの良い食事を自分で摂れるようにする。

食材の持つ特性などを、絵本やパネルシアターなどの教材を用いて子ども達にも分かりやすく説明し、知識を身に付けさせます。

後に、子ども達自らがバランスの良い食材を取り入れられるようにします。

生産者や調理師、全ての食材に感謝して食事が出来るようにする

自分たちの前に食事が来るまでに、どのような人達が関わって、どのような苦労があったかを理解し感謝の気持ちを持って食べられるように援助をします。

感謝。ガンジーの心ですね
その通り。

【保育園で食育を円滑にするためのポイント】

楽しい雰囲気を感じてもらう

入園したばかりの子どもの多くは、今まで食べてきた家庭の味との違いや食事の雰囲気に戸惑うことも多いです。

無理に食べさせようとせず、まずは“みんなで食事をすることの楽しさ”を感じてもらうことが大切です。

それぞれの子どもに合った克服方法を保育者は考える

  • 偏食が激しい子
  • 少食な子
  • 食事に集中できない子
  • 食事に時間がかかってしまう子

等、 保育者はそれぞれの子ども達の様子を観察し、一緒に克服できるよう的確なアドバイスをすることが必要です。

偏食が激しい子には「一口は食べようね」と声を掛け、苦手な食材も一口は食べさせて「頑張って食べられた」という自信や「これなら、食べられるかも」と気持ちを動かしてあげることが出来ます。

少食な子には、最初から量を減らして「全部食べられた」という喜びを感じてもらうことが大切です。

そこから徐々に量を増やして周りの子ども達と同じ量を食べられるよう促します。

食事に集中できずボーッとしてしまう子や、食事に時間がかかってしまう子には、常に声を掛けて「頑張って食べようね」や「○時(長い針が○)になったらごちそうさまをするよ」と予め伝えてあげると、時間を意識して食事が出来るようになりますよ。

決して保育士が無理強いをして、子どもに食べさせるようなことはないようにしましょう。

「給食が嫌だから保育園に行きたくない」と給食の時間が苦になってしまう子どもが出てくる可能性もあります。

苦手な食材を食べる時も、子どもの意思で食べられるよう工夫して、個々の子どもに合った援助が出来るようにしましょう。

食材に関する絵本やお話をして知識を身に付けさせる

クラスで野菜嫌いな子が多い時は、野菜を題材にした本やその食材が出来るまでの本やお話を保育士がしてあげましょう。

  • 「人参を食べれば風邪をひきにくい丈夫な体になるよ。そうすればお友達ともたくさん遊べるね。」

ピーマン嫌いな子どもには『ピーマンマン』の絵本を読んであげると「ピーマンってすごいんだね。」と親しみを持たせることが出来ます。

給食の時間以外にも、食に関する話をすることで子ども達の知識も豊富になりますね。

調理師との合同給食を行う

調理師と一緒に食事をすることで、日頃の感謝の気持ちを伝えたり、調理師が朝早くから給食を作っていることを知ってもらったり、会話を楽しむことも出来ます。

調理室の様子を見学する機会や、食材の生産者の写真を見せるなどして色々な人が自分たちの『食』に関わっていることを知ってもらうことも出来ますね。

私、専門の調理師雇いたいな~~~
自分で作れよ!!
だって、実家にはいるモン!!

【食育指導士とは?どんなことに役立つ?】

食育指導士とは、以下の通りです。

食育指導士とはNPO法人 日本食育協会が認定する民間資格で、2005年に制定された「食育基本法」に沿って食育を地域に普及させることを目的とした指導者のことを言います。

今は主に栄養士や管理栄養士をはじめ、保育士、看護師、学校給食関係者、介護施設で働く人たちがスキルアップを図る目的で取得している傾向があります。

参考元:NPO法人日本食育協会より

試験は東京以外にも大阪や名古屋等、各地で開催され今までに 1万人以上の人が食育指導士の資格を取得しています。

試験のプログラムは朝9:45頃からオリエンテーションが始まり、その後1日をかけて講習が行われ、その日の最後に認定試験が行われます。

この試験に合格することが出来れば、食育指導士として認定されます。

満18歳以上であれば誰でも参加することができ、講習費用は一人10.000円程で受講ができます。

食育指導士の資格を持っていれば、食育の公演をしたり、講座を開いたりすることも出来ます。

保育士でこの資格を持っていれば、保護者からの食育についての相談にも自信を持って答えられますし、アドバイスをすることも出来ますね。

子ども達に色々質問をされても的確に答えることが出来ます。

【食育についてのおすすめの本】

可愛いキャラクター達のイラストと共に分かりやすく説明されているので、子どもと一緒に見ても楽しいです。

「栄養素の本は何だか難しそうで…」と敬遠している方にも読みやすい本です。

子ども達の好き嫌いは、視覚からの印象で大きく左右されます。

人参嫌いな子どもが、人参をハートの形に型抜きしたら食べられた。

少食な子どもが、キャラクターのおにぎりにしたらたくさん食べられたという事も少なくありません。

ここでは、見た目が可愛くて栄養がきちんと取れるレシピがたくさん載っています。

虫歯予防のおやつも載っているので参考になりますね。

子どもの苦手な野菜の代表、ピーマン。普段は子ども達から嫌われがちなピーマンですが、絵本の中ではピーマンマンとして色々な菌と戦ってくれます。

ピーマンマンの大活躍に子ども達もピーマンに親しみを持ってくれることでしょう。

冷蔵庫で繰り広げられる野菜たちのお喋りがとても楽しいです。

食べてもらえるかな?と心配そうな野菜達の気持ちや、喜ぶ気持ちが伝わって来て大人も楽しめる一冊です。

【体験談・私が食育を通じて経験したこと】

仲の良いお友達や先生と一緒に食事が出来ることが保育所のメリットでもあります。

入園当初は偏食が激しく、食事に時間がかかっていた子が1年を通して好き嫌いなく、時間内に食べられるようになったということも多くあります。

私が受け持ったA君は偏食が激しく、いつも白いご飯しか食べられず苦手な食べ物を前にすると泣いてしまう事もありました。

しかし、家庭と連携しながらA君の食べられるものを少しずつ増やし、3学期にはおかわりをするまで成長してくれました。

大好きなお友達や先生が美味しそうに食べているのを見て「食べてみよう」と思ったり、苦手を克服して保育者に褒めてもらったことが嬉しくて進んで食べられるようになったりすることは、集団生活ならではのメリットでもありますね。

一人でクラス全員を見なくてはいけない保育者にとっては、一人一人に合った援助をすることは大変そうに感じます。

しかし 子ども達の頑張っている姿や、完食しピカピカになったお皿を見せに来てくれる嬉しそうな表情は保育者にとっても原動力になります。

子ども達自らが『食』に興味や関心を持って、楽しい雰囲気で給食の時間を過ごし、心身ともに成長を育めると良いですね。

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※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。