保育士の連絡帳が保護者に伝わらない。伝わらない事の悪影響

このコンテンツでは下記の方が対象です。

連絡帳をもっと有効に使いたい保育士さん

対象者の方は続きをお読みください。

保育士の今出川麗子です。

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伝わらないといえば?
奥さんに私の意見が伝わらない。
なんかすみません。

保育士の連絡帳が上手く保護者に伝わらない人の理由

毎日保護者に一生懸命連絡帳を書いているのに、何だか保護者に響いてない気がするのはなぜ?

それにはいくつか理由が考えられます。

書くときに、保育士側からだけではなく、保護者側にも視点を置いて書いていない

上手く保育士の意図を連絡帳で伝えられない保育士は保護者の都合を考えずこちらの要望を優先で作成する傾向にあります。

保育士にも、保護者にも、お互い違った事情があります。

例えば、いつも忘れ物が多く、なかなか子どもの着替えの用意を持ってきてくれない保護者がいるとしましょう。

保育士は、このお母さんに対し 「子どもに対する配慮がない、ルーズ」 という印象を持つかもしれません。

しかし、お母さんには、忙しい中必死に仕事と子育てを両立している、という事情があります。

夜遅く帰って、洗濯をして、なかなか服が乾かないのかもしれません。

園としては、どんな事情があっても着替えは必要です。

けれど、忙しいお母さんの都合を想像した上で、着替えのお願いを書こうとすれば、自然に 「お母さん、忙しい毎日、お疲れさまです。お着替えよろしくお願いします」 とお母さんを気遣った一言が出てくるものです。

一方、だらしないお母さん、と決めつけて連絡帳に書くと、 「早く着替えをもってきてください」 のように、つい、こちらの都合を押し付けた文章になりがちです。

保育士として同じ連絡事項を書くのでも、お母さんの立場を想像して書くのと、こちらの都合だけを考えて書くのとでは、お母さんへの心の響き方が違ってきます。

誰でも、自分を思いやってくれる人の話を聞こうと思うものです。

こちらの都合や思いを一方的に書くのではなく、相手の立場に立ちながら、文章を書いていきたいものですね。

保護者に対する考え方については保護者支援の保育士の役割。親にとってどんな保育士であるべき?をご覧ください。

 

子どもの表情、感情が分かる表現を取り入れているか

連絡帳では園での出来事を淡々と表現するよりも、 その時の子どもの表情や感情を取り入れて書くと、 情況が目に浮かび、ぐっと引き込まれます。

例えば、「今日、給食でピーマンを食べました」より、

今日、今まで苦手で一度も口にできなかったピーマンを、お隣に座ったピーマン好きなお友達の刺激を受け、ついに口にしました。

みんなにすごい、とほめられ、少し照れ顔のRくんでした。

これを機に、野菜に対する興味が出てくるといいですね。

の方が、情況が目に浮かびますよね!

子ども一人ひとりをしっかり見ているか

子どもの表情や気持ちが動いた場面を連絡帳に書こうと思ったら、まず保育士が子どものことをしっかり観察していなければなりません。

  • 子どもが初めてできるようになったこと
  • 子どもが得意げな顔を見せていた場面
  • お友達とうれしそうに過ごしていた場面

等、子どもがキラッと光る場面を見逃さずにいたいものです。

見逃したくなかったロンバケの最終回
古いですね

伝わらないことによる悪影響

連絡帳を通じた保護者とのコミュニケーションがスムーズにいかないと、それをきっかけに、重大な悪影響を及ぼすことがあります。

子どもの成長に悪影響が出る

子どもは園と家庭の連続性の中で日々生活しています。

園と家庭が連携を取り合うことで、子どもの園から家庭、家庭から園への移行もスムーズになります。

また、園では見えていなかった家庭での様子を聞くことで、気付いていなかった、子どもの新たな一面を発見することにもなります。

逆に、 園での様子をお知らせすることで、保護者の方も新しい気づきが得られます。

連絡帳のやりとりがうまく行われていれば、お互いの知らない面を補い合い、子どもの成長に対して、歩調を合わせていくことができます。

例えば、昨日、Aくんが家庭で少し睡眠不足だったと分かれば、園の方で 「早めにお昼寝ができるようにしよう」 と生活を組み立てられます。

また、園で初めて便器に座って排泄ができたことを保護者にお伝えすれば、 「おうちでも試してみよう」 ということになります。

子どもが安心して生活するためには、まず、子どもにかかわる大人同士の連携が取れていることが大事になります。

その意味でも、連絡帳は、保護者と保育士を繋ぐ、大事な架け橋です。

トイレトレーニングの詳細は 【思ったより難しい新卒保育士必見】トイレトレーニングの方法と進め方を ご覧ください。

保育士、園に対する不信感のもとになる

連絡帳は、保護者と園との大切なコミュニケーションツールです。

書くことより、お話することの方が好き、という保護者もいますが、お話は苦手だから、連絡帳でコミュニケーションをとりたい、と思う保護者もいます。

書くことでコミュニケーションを図りたいと考えている保護者が、思いを込めて尋ねてこられたことに対し、こちらが、しっかりと返さない。

そうすると保護者は

  • 「先生は忙しいのかな?」
  • 「忘れているのかな?」
  • 「たいしたことないと思われているのかな?」

と不安になります。

その 不安が大きくなると、「どうせ聞いても答えてくれない」と保育士や園に対して心を閉ざし、不信感をもってしまうことにつながります。

保護者と良好な関係を築くためにも、保護者が書いてきてくれることに対して、必ず、一言お返事を書くことをすすめします。

書いてお返事しにくい場合は、口頭でお話するようにしましょう。

お答えすることが難しい質問は、先輩や主任、園長に必ず相談し、うやむやにしないようにしましょう。

保護者対応については保護者の対応で1番困ったことは?現役保育士に聞いてみました。をご覧ください。

保育士連絡帳ではどんな内容を書けばよい?

では具体的に、どんなことを書いたらいいか、いくつかポイントを挙げてみましょう

子どもの様子がいつもと違う

  • 鼻水、咳がでていた
  • 食欲のある、なし
  • 排便(ゆるい、下痢等目立ったことがあった)
  • 熱があった
  • 午睡が少なかった
  • 元気がなかった、など

体調に関することは、できるだけ口頭で伝えるようにします(急な場合はお電話でお伝えします)。

それに加え、 連絡帳では、何時ごろどんな様子だった、熱が何度だった等記入しておき、後で記録として状態が分かるようにしておきます。

午睡が少なかった、元気がなかった等、いつもの様子と異なる時は、連絡帳や口頭でお伝えし、家庭で様子を見てもらうようにします。

寝かせつけの詳細は 【すご技】保育士の寝かせつけ技。これでお昼寝もスヤスヤ をご覧ください。

保護者が知りたいこと

例えば、Aちゃんが、まばたきを繰り返しするなどのチック症状が家で表れていたとしましょう。

保護者は心配で病院に行くこともあるかもしれません。

このチック症状など、 園児の様子で目立つことは、保育士も当然分かっているはずですね。

もし、保育園からこのことについて連絡がなかったら、Aちゃんの保護者は不信に思ってしまうでしょう。

このようなことは、 分かり次第すぐに連絡帳に書く か、お会いしてお知らせする必要があります。

保護者は、このような園児の変化(いつもと様子が違うこと)を早く知りたいのです。

子どもが新しくできるようになったこと

  • 初めてトイレで成功した
  • 苦手な野菜が食べれた、お箸が上手に使えた
  • 初めて着替えが自分でできた
  • 初めて歩けた、初めて歩いて散歩行った
  • 初めてハサミに挑戦した、など

日中は子どもから離れているお母さんの代わりに子どもたちを預かる保育士は、子どもの「初めて」の場面にたくさん出くわします。

その場を見ることができなかった保護者に、ぜひ子どもの成長の瞬間をお伝えし、感動を分かち合いたいですね。

文例①

今日のこいのぼり制作のときのことです。

こいのうろこを線に沿って切る」という作業で、○○ちゃんは、はさみを使って見事に線の通りに切ることができました。

今まででしたら、線からはみ出して泣き出すこともありましたが、今日は、「先生、見て見て!」と言って来てその成果を見せてくれたのです。(園に来られるとき声をかけていただいたらお見せします)

私は、○○ちゃんが毎日一つずつできるようになることが増えていると実感しています。また、お伝えします。

文例②

今日の○○ちゃんは、得意の鉄棒で「ぶら下がりが10数える間できた!」といってきてくれました。

日に日に成長を感じる○○ちゃんには驚かされています。

実際に鉄棒に行って、できる様子を確認しました。私は、○○ちゃんが歯を食いしばってがんばる姿に感動しました。

お家のほうでもがんばっておられるんだなあと思っています。

解説

新たにできるようになったことを書くときには、できるだけ具体的に書くようにするといいでしょう。
  • 保育士が気をつけて見ている
  • 小さなことでもしっかりと見ている

と保護者の方に知らせることです。

保護者の方は、「一つずつできるようになっていく我が子の成長」を知りたいのです。

ここで、連絡帳に書く際の注意したい3点をご紹介します。
  • 一つに絞って書くこと
  • 会話文を入れるなどして、できるだけ詳しく書くこと
  • 保育士の感想や思いをしっかりと書くこと

保護者が知りたいこと

初めてのお子さんの場合など、特にそうですが、 保護者の方によっては、我が子の成長の記録を大切にしたいという思いが強い方 がおられます。(手帳に細かく書かれている保護者もおられます。)

「保育士が最も知りたいパターンの文例」でもご紹介しましたが、我が子が新しくできるようになったことは、詳しく知りたいという思いを持っておられるのです。

子どもが輝いていた場面

  • 自分で、と、一人で着替えをがんばった
  • お片付けがとっても上手だった
  • 鉄棒に何度も挑戦していた
  • 虫を捕まえてうれしそうだった など

子どもが輝いていた場面を保護者にお伝えすることで、子どもは保護者から、「すごいね」「がんばったね」と声をかけてもらうことができます!

保護者が知りたいこと

お友達との関わりは、幼児期ですから あまり気にしない保護者の方が多い です。

しかし、お友達をたたく、悪い言葉を言うなどの場合は、 保護者はできるだけ早く気付いてほしい と思っています。

後になって、相手にけがをさせるなど、大きなことになってから「実は前からたたいて・・・」など言われたら、とても残念な結果になってしまいます

ただ、こういう場合(悪い内容)は会ってお話するほうがいいでしょう。

保護者の方は、お友達と仲良くやっているのだろうか、と友達とのかかわりを気にされています。

子どもが輝いていた場面を保護者にお伝えすることで、子どもは保護者から、「すごいね」「がんばったね」と声をかけてもらうことができます!

お友達とのかかわり

  • 小さいお友達の手を優しくつないであげていた
  • ~ちゃんと二人でとても楽しそうに秘密基地を作っていた
  • お友達にどうぞ、が上手にできた など

保護者の方は、お友達と仲良くやっているのだろうか、と友達とのかかわりを気にされています。

楽しいエピソードがあれば、ぜひ報告したいところです。

一方、 お友達とのトラブルに関しては、書き方に配慮が必要 です。 マイナスの書き方をせず、成長の過程で生じているということを伝えましょう。

子供のトラブルに関しては 保育園での子どものケンカは本当に保育士が止めなくてよい? をご覧ください。

どんな出来事も連絡帳に書いて知らせるべき?

重大と思われる出来事でも、時には、書いて知らせるべきか、書かないでおくべきか、判断に迷う場合があります。

それはどんな場合か?

それは 重大な出来事に、お友達がかかわっている場合です

基本的に、園で起こったことは、トラブルを止められなかった園の責任で、傷を負わせてしまったお友達の責任ではありません。

例えば噛みつき、引っ搔きが起こった場合も、相手の名前を知らせないのが基本です。

しかし、 基本であって、絶対ではありません。

何度も噛みつきが続いている場合、名前をお知らせすることもあります。

子どもが話をできるようになる年齢になると、謝った情報が伝わる恐れもありますので(記憶が曖昧な子どもは違う子どもの名前を言うことがある!)お知らせすることもあります。

園の方針で、名前を言わないように決めているところもあります。

名前をお伝えする方針のところもあるかもしれません。

保護者、子どもの状況を見ながら、ケースバイケースで、その場に一番いい判断をしていくことが求められます。

とても判断が難しいです。

判断に迷う場合は、一人で判断せず、必ず、先輩、主任、園長に報告、相談するようにしましょう。

傷を負わせてしまったことや、相手があることに関しては、判断を誤れば、大きなトラブルに発展する恐れがあります。

使いやすい連絡帳

多くの園では、既成の連絡帳を購入するのではなく、自分たちで様式を作成し、それを印刷して使っています。

平成25年4月1日()今朝の健康状態,せき検温前夜の睡眠(~),夕食(ごはんみそ汁ハンバーグ),朝食(パン牛乳ヨーグルト),排泄(○大○小○小),※おむつに出た時○小トイレに出た時小,家庭から,・お家の様子を書いて下さいね。,日、祝などお休みの日もお願いします。,昼食(),おやつ(),午睡(),排泄(),園から,園での様子をお伝えします

この表は1歳児の例です。各年齢によって、様式を変えて作成します。

0歳児ですと、24時間単位で子どもの睡眠、授乳、排泄が分かるタイプのものを作成すると様子がよく分かります。

2歳児になると、生活習慣がだいぶ自立してきますので、食事のメニューまで書かず、食べた食べないを知らせるのみ、排泄も、大便の有無を知らせる程度、という感じで、1歳児より簡略化していきます。

3歳児以降の幼児クラスでは、 生活習慣の記入は行わず、体調面や食欲等、いつもと様子が違う場合のみお知らせします。

生活習慣より、お友達とのかかわり、遊びの深まりが大事になってきますので、そちらの部分を重点的に、保護者とやりとりしていきます。

1年間たまった連絡帳に、子どもが書いた絵や、子どもの写真、手形当で表紙を作り、年度末に保護者にお返しすると、子どもの成長がつまった宝物が出来上がります!保護者にも喜んでもらえます。

でもそんな時間がないし、既成のもので済ませたい、という方は…

こちらのサイトを参考にしてみてください。

各年齢ごとに応じた色々なタイプの連絡帳が揃っていて、おすすめです。

参考元:フレーベル館の公式オンラインショップつばめのおうち 連絡ノート

【体験談】私の連絡帳のエピソード

1歳児を担任していた時のことです。

イヤイヤ期真っ盛りのこの時期は、朝の登園時や、お帰りの時間に、お母さんに対して「イヤイヤ」を連発する子どもが後を絶ちません…

その中でも、特に大変そうだったのがKくん親子でした。

朝の仕事前で忙しいお母さんの都合などおかまいましに、「イヤ、ダメ」と泣き叫ぶKくん。Kくんとお母さんは毎朝、この光景を繰り返していました。

Kくんのお母さんは、普段、あまり不満や愚痴を言う方ではありません。

けれど、ある時、連絡帳に 「あの子はいつもこうなんです。家でも、ずっとこんな感じで、本当にどうしていいか分からず、イライラします」 と胸の内を打ち明けてくださいました。

実を言うと、私も1歳児を始めて担任し、 子どもたちのイヤイヤにどうつきあっていいか戸惑う日々を過ごしていました。

そしてKくんに対して、お母さんと同じように、「またイヤイヤ言っている、本当に困る」という気持ちを抱いていました。

だから、お母さんの苦労する気持ちが、同じように分かりました。

そして、悩みながらも、Kくんのことを誰よりも大切に思っていて、Kくんの気持ちに何とか寄り添ってあげたいと思われている、 お母さんの愛情も、同じようによく分かりました。

「Kくんは大きな声でイヤだと泣きながら、必死でボクのこと見て、と訴えているんですよね。園と家庭で、一緒に、Kくんのことを支え合っていきましょうね」とお母さんにお返事しました。

同じように悩みながらも、Kくんを大切に思う大人同士として、お母さんも、深いところで私の言葉を受け止めてくださいました。

それ以降、お母さんと園の間に深い信頼関係ができました。

お母さんとの連絡帳は、家庭と園とが手を繋いで子どもの成長を見守る、大事な架け橋になるのだなあ、と実感しました。
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※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。