保育士は書類が書けないと困る?書き方のコツやQ&A
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 書類の書き方のコツが知りたい新人保育士さん
対象者は続きをお読みください。
保育士の書類仕事の種類
保育士になると、新人であったとしても書類仕事があります。
もちろん研修を積んでのことですが、慣れるまでには時間もかかります。
残業や持ち帰りが多くなるものです。
保育士として働き始め、 園児の相手だけをしていればいいと思っていた方 にとっては、こんなはずではない、こんなに書類仕事が多いのかと驚いてしまいます。
文章を書くことが苦手な人もそうですが、文字を書くことに抵抗がある人もいるのです。
以上のようなことから
- 「子どもが好きで保育士になったのに子どもとの時間を割いて書類仕事をしなければならない。」
- 「書類仕事が多すぎて、残業せずに帰れたことがない。」
というような声があがるのです。
さて、保育士の書類仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下にご紹介します。
「保育日誌」
非常に大切な記録簿と考えてください。
その日に活動した内容や園児の様子、クラスであったできごと、けがやおもらし、保護者に伝えるようなことがあった園児の様子などを記入します。
0~1歳の乳児の場合は、個々人の記録を書きます。
これをおろそかにする保育園はだめです。
この記録は、園長先生にとっても大切な資料になるのです。
保育日誌の詳細は 保育日誌の考察や効率の良い書き方。保育園の日誌以外つける? をご覧ください。
「児童票」
児童一人一人のことを記録する記録簿です。
日々付け加えていきたいところですが、時間的なことを考えると毎週、毎月になってもいいでしょう。
「年間カリキュラム」
年度始めに立てる年間計画案です。
保育、食育などの大まかな内容を書いたり、1年間の保育目標を書いたりします。
保育園が目指す方針を一年間にこういう形で具体化するということを表したものです。
「保育計画書」
年間カリキュラムをもとに月案、週案、日案の計画を立てます。
乳児など年齢が低い園児ほど書く量が多く なります。
月案
年間カリキュラムをもとに、毎月の具体的な行事や予定を書きます。
保育園によっては職員会議という形で、前月に行事ごとの職員の動きや保護者の支援の求めを話し合い、それをもとに、自分がどう対応するかを書きます。
乳児クラスは、特に大切な月案で、毎月の園児それぞれの個々のねらいや配慮すべき事項などを書きます。
週案
0歳児の担当が集まって週案作成のための打ち合わせを行います。
基本的には、 月案をもとに週案を立てると考える といいでしょう。
乳児のクラスは、先週の子どもの様子をもとにしてその週の目標(できるようになってほしいことなど)とそのための活動計画、配慮すべき事項などを書きます。
日案
クラスとしての毎日のねらいや活動計画、配慮すべき 事項などを書きます。
「クラスだより」
毎月ごとの園児の様子や保護者への連絡事項、次月の行事予定などを、保護者に周知するためのおたよりです。
園長先生の目を通すなど、 保護者の方が戸惑うことのないよう にしなければなりません。
クラスだよりの詳細は もう悩まない!月&クラス別。保育園のクラスだよりのき出し文例 をご覧ください。
保育園によっては他にも多くの書類仕事があります。
どれも大切な書類仕事ですが、どれも重要な書類に違いありませんが、それも時間あってのこと…以下をお読みいただき、あなたなりに工夫してほしいと思います。
保育士の書類仕事の「書き方のコツ」
保育日誌を例にあげましょう。
日々記録していかなければならないものではありますが、書くことがなくなることが現実にあります。
また、日々の園児の様子についても、 忙しさのあまりに園児の行動や会話を忘れてしまうこともあります。
効率よく保育日誌を書くためには、どんなコツがあるのでしょうか。
大切なのはひな形を作っておくこと
- 「外遊びでAちゃんの○○という新たな一面が見られました。」
- 「11時頃、Bちゃんの様子に、検温したところ38度の発熱があり、保護者の方にお迎えに来ていただきました。」
- 「Cちゃんの保護者より○○という相談を受け、私の判断で、…と回答しました」
- 「お遊戯会の練習で○○の場面の木の位置が園児とかぶってしまうところがあったのでH先生と相談して…しました。」
- 「お散歩のときに、○○が必要と思いました。事務の方に連絡しておきました。」
日誌ですから、毎日書きますね。
その文章をどう書くかで悩んでしまうことが多いでしょう。
上記のようにあらかじめ決めておくと、後はそれを応用(言葉や単語の入れ替え)という作業になります。
保育日誌だけでなく、 園によっては保育経過記録 などにも使えます。
日々の保護者の方との連絡票にも使えます。
今日Aちゃん | ジャングルジムで2段まで登ることができました。 |
---|---|
今日Bちゃん | 自分で「おしっこ」と言って2回もできました。 |
今日Cちゃん | ブロック遊びでお友達にやさしく声をかけていました。 |
今日Dちゃん | お散歩のときに転びましたが、泣きませんでした。 |
これらをその 場面ごとにカテゴリー分けして何パターンも用意 して、Eちゃん、Fちゃん…と応用していけばいいだけなのです。
何をどう書けばいいかについては、同僚や先輩の方の記録を見せてもらうのもいいし、保育雑誌などにも載っていることがありますので利用するといいでしょう。
メモ!
A4版の4分の1の大きさのノートを用意しましょう。
落ちないように工夫して、エプロンのポケットに入れておきます。
いつでもどこでもメモが取れるようにしておくのです。
筆記具は鉛筆がいいでしょう。
できれば短めの鉛筆で、先の丸いものですね。
その鉛筆で園児がけがをしてしまってはたいへんですから。
「メモへのこだわり」は保育士にとって非常に重要です。
園生活の中のあらゆる場面でメモを取る習慣をつけておけば、時間との闘いである保育士にとって、非常にありがたい味方になってくれるのです。
園児の素晴らしい言動は、瞬間的に起こります。
また、あなたのアイデアも瞬間的に思い浮かぶものです。
ただ、そのたびにメモをしていかないと、後で思い出そうとしてもなかなか難しいです。
気づいた時にメモをとる習慣を身に付けましょう。
また、隙間時間に、思い出したことをメモに取る習慣も大切です。
おやつの時間や昼寝の時間に、園児の顔を一人一人観察しながら書くと結構書くことができるものです。
目立ちにくい子にもしっかりと目を向けて
活発な園児は、日々多くの成功や失敗をします。
書きやすいですね。
でも大人しい園児は気を付けないと、その子のいい面を見逃してしまうかもしれません。
目立ちにくい子にもしっかりと目を向けるようにすることも、非常に重要 なことなのです。
そのしぐさ、目や手の動き、小さな声で発せられる言葉…見逃さないようにしてくださいね。
書類仕事のQ&Aとポイント
Q
保育日誌を書くときの留意点を教えてください。
A 保育日誌は、今日の反省と明日の予定、見通しというものを書くのが一般的です。
ただ、退職が認められたときに、退職関係の書類の提出はしなければなりません。
今日のAちゃんへの対応は適切だったか。
Bちゃんの保護者からの要望にどう応えるか、また、明日の遊びの内容をどうするか、なかなかお話のできないCちゃんとどのように関わるかなどについて具体的に記します。
留意することは、 園長先生や主任の先生がそれを読んでわかりやすく書くこと ができているかということです。
これは、すなわち具体性があるかということにもつながります。
以下にNG例とOK例をあげます。
NG例
Dちゃんの保護者から「わがまま」の相談がありました。
明日は気を付けて見ていきます。
OK例
Dちゃんの保護者から「わがまま」の相談がありました。
明日は外遊びの時のDちゃんの様子を観察して、お帰りの時にDちゃんのお母さんに伝えます。
Q
保護者の方から相談を受け、長時間話した内容などは、どの程度書けばいいのでしょうか。
A 5W1Hで書くようにしましょう。
ただ、退職が認められたときに、退職関係の書類の提出はしなければなりません。
保育園では、特に保護者対応が命です。というのも1保護者とのトラブルが、口コミとなって「あの保育園は○○だ!」という噂によって園の死活問題にまでに発展することもあるからです。
だらだらと書くのではなく、 要点を自分なりに整理して5W1Hで書く といいでしょう。(箇条書きでOKです)一例を挙げておきます。
相談内容(園児退園後にAちゃんの保護者(お母さん)より)
When | 中タイム(外遊び)で遊んでいる時 |
---|---|
Where | ジャングルジム |
Who | Aちゃん(当該)とBちゃん |
What | Aちゃんがジャングルジムに上がろうとしたときに、Bちゃんが後ろから引っ張って下に落ちた(あくまでもAちゃんの言い分を保護者が聞いたこと) |
How | (退園後のことで、Bちゃんとは話を聞けていない) |
Why |
私が観察していたかぎりでは、Aちゃんが落ちて泣いていたということもなかったですが、このようなことは絶対にあってはならないことなので、私が観察していた事実をしっかりと述べました。 そして「明日Bちゃんに事情を聴くとともに、みんなに「危険なお話」として指導します。」とお母さんにお話ししました。 お母さんは「よろしくお願いします。」と言われ、笑顔で帰られました。 |
このような報告を保育日誌に書いておくことで、園長先生にも伝わり、万一園長先生あてに電話があっても「保育士の○○より聞いております。…」と大きなトラブルになることを防ぐことができるのです。
会社での書類仕事は、社を守る、 保育園の書類仕事は、あなたの働く園を守る、と思っておく といいでしょう。
保育専門誌は参考になる?
参考になる書籍「 月間保育とカリキュラム 」
この 保育雑誌のメリットは「特集」です。
現場経験のある大ベテランの先生方編集ということですので、実際の保育場面をもとにして、いろいろな場面を想定して書かれています。
悩んでいる保育士にとっては、非常に参考になったり、共感したりできます。
デメリットとしては、あくまでも一般的に読んでもらえるように書かれていますので、それをもとにして、あなた自身が直面する悩みや疑問を解決するには、応用力が必要になるということです。
書類作成のためのポイントも、毎号何らかの形で載せてありますので参考になる記事は多いですよ。
手書き派?パソコン派?書類ごとに変える?パソコン覚えた方がいい?
手書き派?パソコン派?と考える前に、大切なポイントは
「保育園内の書類はパソコンで、保護者向けの文書(連絡票やクラスだより)は手書きで、を基本に書類作成していくといいでしょう。」
パソコンには、
- 「修正や更新が楽」
- 「文字が読みやすい」
- 「時間短縮になる」
という意見も多いですね。
もちろんすべてをPCで行うという園もありますが、いかにあなたの字がうまくなくても、 ていねいに「手書き」した内容は、保護者の方に温かく伝わる ことでしょう。
考えてみてくださいね。
うちの園って書類業務多い?判断するポイントは?
書類が多いかどうかは理事長の方針が大きいです。
上述しましたが、保育士の書類業務については、クラス主担任の場合、 園児と触れ合うことともに大きなウェイト を占めます。
書類に記録を残すことは、管理上、また、保護者への保育サービス上重要ですが、残業や持ち帰りとして保育士の負担になっているということが苦情のようになっています。
残業の詳細は 保育士残業問題はどこの園も同じ?行政機関に伝えても解決しない? をご覧ください。
これについては、園の方針などによって大きく異なるのです。
保育園の転職などで、その 判断できるポイントは、理事長の保育方針にあります。 見極めるためには、次のような判断基準で見てください。
理事長や園長の保育方針が一般的でなく、非常に具体的である
理事長や園長の 保育方針が具体的 であるということは、保育士の仕事内容も細かいところまで具体的になるものです。
ですから、書類業務も多いことが予想されます。
保護者宛のアピールが強い
園案内に書かれている案内を見てみましょう。
「○○についても保育士が一人一人の様子をしっかりと観察しながら指導に当たります。」などという「保育士が…」という文面が 如実に書かれている場合 には、書類業務が多いことが予想されます。
他の園と比べて年中行事などが多い
年中行事などが多い ということは、それに伴うおたよりなどが多いことが予想されます。
パート保育士でも書類って書いていいの?
パートさんが主任やリーダーをしている保育園もあります。
パートさんでも保育園では戦力です。
決められた勤務時間になりますが、書類業務もこなしてもらわなければ保育園としてまわっていかない園もあります。
これは、保育園の大小にかかわらず、 パートさんを雇っているところなら当たり前 のことです。
【体験談】~書類仕事を軽減するのに実際やったこと~
体験談1
園児と向き合える時間が増えた!
「私が保育士として就職したのは1年前…大学で乳幼児のことを学ぶ中で、子どもと日々触れ合うことに憧れ、就職したのです。
でも現実は違いました。
園児と学んだり遊んだりすることだけが保育士の仕事ではないのです。
書類作成の仕事が想像以上に多いのです。
就職したての頃は、どれだけ残業をしたことかわかりません。
園児を返した後は息をつく間もなく机に向かい、反省を書いたり、次の行事の目標を立てたり、毎日の園児の様子をまとめたり、日々の書類作成の作業に追われていました。
でも、今ではそんな作業を追いかけているんですよ。
日々の書類作成の作業をどうしてきたか、今だからこそ言えることをお話ししたいと思います。
慣れです。
要領です。
園児の午睡の時間や休憩中などいわゆる隙間時間…これは絶対にチャンスです。
でもそのチャンスを生かすためには、 前日までの計画性が必要になります。
前日までに、「明日はAとBを中心に、○○な内容を書く」と決めてかかること です。
また、パソコンに、ある程度自分なりにひな形を作っておいて文章を書くようにしたことも時間短縮になりました。
新任の頃からこれができていればどれだけ楽だっただろうかと今になって思っています。
でも間違えないでください。
要領よくして手を抜くようになったのではなく、 要領を覚えて時間短縮で書けるようになったということ です。
そうすることで時間ができます。園児と向き合える時間が増えました。
体験談2
役割分担で解決!
私が勤務する園では、 得意分野を役割分担 しています。
5歳児クラス(3クラス)を5人で見ているのですが、5人が、
- 「全体保育時の中心となる人」
- 「文書作成をする人」
- 「行事の計画案を立てる人」
などというようにしています。
公平なやり方だと思っています。
作品展などの製作の得意な先生、ピアノ伴奏がうまい先生、文章を書くのが得意な先生…これは絶対にいい方法だと思います。
もちろん誰にでもできることは、月ごとに交代で分担しているのです。
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