【障害児保育】知的障害児入所施設について。実際の声を聞きました
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 知的障害児入所施設について知りたい方
対象者は続きをお読みください。
ここでは知的障害入所施設で働いたことがある保育士さんに実際に話を伺いました。
あなたがもし働くことを検討しているのであれば参考にしてください。
- 働くようになったきっかけは?
- 不安や心配なことなどはありませんでしたか?
- 実際の仕事内容は?
- たいへんだったことや、やりがいは何ですか?
- 知的障害児入所施設への転職を考えるなら絶対に押さえておくべきポイントは何ですか?
- 「理想と現実」じゃないですけど、転職前と実際に就職した後のよくあるギャップってありますか?こんなはずじゃなかったのに、みたいな。
- 就業するまでに学んでおいたほうがよいことってありますか?
- 求人は実際にどのように探されましたか?
- 求人を探すのに、おすすめの方法はありますか?
- ちなみに、新卒の保育士でも目指せる職場ですか?
保護者支援やソーシャルワークの必要性については記事終わりから
働くようになったきっかけは?
私の大学では保育士免許を取得する為に、施設実習(10日間)、保育園実習(10日間)、施設又は保育園実習(10日間)の計3回(一か月)実習が行われていました。
一度目の施設実習で肢体不自由児施設に行く事になり、私はまったく障害を持つ人と関わった事がなかったのですがー
障害を持ちながらも明るく過ごす利用者の方や、利用者の命を精一杯輝かせようと日々努力をする職員の方の姿を目の当たりにして強く心を動かされました。
その直後に行った 保育園実習で、保育士が子どもを感情的に叱る姿に胸を痛めた事もあって、障害児施設で働きたいと意志が固まりました。
そして三回目の実習で選んだ施設の職員の方からー
- ここに就職しませんか。
ーと誘われた為ー
不安や心配なことなどはありませんでしたか?
しかしそれを上回るー
私も一回目の実習に行った施設の職員の方のように、利用者の人生を輝かせる事の出来る職員になりたい。
ーと強く願う気持ちの方が大きかったです。
私が就職を志したのが知的障害児施設でしたので、 毎日知的障害児施設に関する先に就職した先輩方の体験談を読み漁り、他学科の障害児との接し方や障害についての授業に出て知識を深めました。
更には就職が決まった施設にお願いしてアルバイトとして雇って頂き就職前に実践経験を深めようと 自分なりに努力はしていました。
実際のお仕事内容について教えていただけますか?
起床で子ども達を起こし、歯磨きと洗顔、そして制服へ着替えてベッドメイキングの指導を行います。
援助が必要な子どもを見ながら、昨夜に干した洗濯物の片づけなどの指導も行います。
そして朝食を食べさせて学校へ送り出したら、生活域と食堂の掃除です。
イメージとしては学校教室2つ分の広さを一人で掃除機をかけてモップでふきあげます(毎週金曜日はワックスかけを更に行います)。
その後はー
- 自分の担当している子ども達の一か月の生活の様子をまとめたケースノートの作成
- 壁面の作成
- 園行事が近ければその準備
- そして子ども達が帰ってきたら連絡帳のチェック・返信、入浴介助、夕食介助、明日の学校へ持って行く物の準備
- 就寝準備
- 就寝後は10分おきに巡回
ーを行います。
これを基本的に三交代でこなしていました。
たいへんだったことや、やりがいは何ですか?
障害児施設はどこも現在人手不足が深刻なので、 大体の作業は一人で行わなければなりません。
出かける際には必要な機材を玄関まで運び、昼食がいる行事の場合はお弁当の手配、配車割、何かあった時の為に子ども達の保険証のコピーを全員分取らなければなりません。
子どもの把握を誰がどう行うかの割り振り、細かいタイムスケジュール作り、もしもそれが上手く行かなかった場合の代案、買い出し と、とにかく忙しいです。
ですが、なかなか外に連れ出す事の出来ない子ども達を連れ出して、 「楽しい」や、「また来たい」という言葉を聞いたり、子ども達の見聞を広める事が出来た実感を持てると非常にやりがいを感じました。
知的障害施設で働いてみたい人は 保育士求人プロ をご覧ください。
知的障害児入所施設への転職を考えるなら絶対に押さえておくべきポイントは何ですか?
福祉業界は万年職員不足と施設不足で喘いでいます。
その為、 最近では重度心身障害児施設に肢体不自由児が来たり、知的障害児施設に精神障害児が来たりと、障害児施設の障害の多様化が広まっています。
私の知的障害児施設にも、肢体にも障害がある子どもが入所して来た事がありましたし、精神障害を持っている子も入所してきました。
知的障害児の勉強しかしてこなかった為、精神障害について学ぶ事は多く、コミュニケーションにも薬の投与にも苦労しました。
「理想と現実」じゃないですけど、転職前と実際に就職した後のよくあるギャップってありますか?こんなはずじゃなかったのに、みたいな。
一つ挙げるとすれば、施設に子どもがいる理由について深く考えておく必要があります。
親が育てられずに苦肉の選択で施設に入れた子ども、そうではない子ども、理由は様々です。
親が必ず子どもに愛情を持っているという風に考えてはいけません。
色んな親が世間にはいて、子どもと一緒にしてはいけない親だって沢山いるのだと理解しておきましょう。
就業するまでに学んでおいたほうがよいことってありますか?
また、就職が決まった施設にも頻繁にボランティアなどで顔合わせを行い、 事前に子ども達に顔を知ってもらう事は大切です。
施設にいる子ども達は猜疑心が強く、親の愛に飢えている子が殆どです。
ですから いきなり仲良くなろうとしても拒否される事の方が多いので、徐々に時間をかけて仲良くなっていきましょう。
求人は実際にどのように探されましたか?
保育士は一般企業よりも就活が遅く、実習の関係もあって、就活の時期は大学四年の夏頃から始まります。
保育士専用の求人が各大学に来るので、そこで選ぶのですが、施設の求人はあまり大学には来ない場合もあります。
そこで、ハローワークで新卒保育士として自分の興味ある分野の障害児施設を検索し、ハローワークを通して就活を行うとスムーズかつ確実に就職できると思います。
求人状況については【障害児保育】児童発達支援施設の求人。おすすめ探し方などをご覧ください。
求人を探すのに、おすすめの方法はありますか?
人数が多い大施設は福利厚生も良く、給料も良いです。
人間関係が不安な人は、就業人数の少ない所を選べば集団いじめなどの怖い目には遭わずに済みます。
しかし、特にこだわりもなく取り敢えず就職先を見つけたい人は福利厚生で施設を選ぶ事をオススメします。
夜勤手当や住宅補助手当はそれぞれの施設で全く違います。
夜勤手当が一回5,000円以上であればかなりの好待遇と言えます。福利厚生を重点的に見れば、そんなにひどい施設に就職してしまう事も無いでしょう。
ちなみに、新卒の保育士でも目指せる職場ですか?
また、新卒であれば先輩からも「この子は新卒だから」と丁寧に小さな事まで教えて貰えるので、新卒こそ施設に就職して欲しいですね。
施設職員は夜勤がある事や体力勝負なので、職員の平均年齢が若く、入れ替わりも激しいです。
ですから、 少し辛抱して働けばすぐに主任になれる施設だってあります。
私も就職一年目で、いきなりー
- 三年もしたら次はあなたが主任になるのだから、色々覚えてもらう。
ーと当時の主任から言われて、主任の仕事も少しずつ任されていました。
新卒からコツコツ努力すれば主任になる事だって夢ではありません。
キャリアアップについては 保育士からキャリアアップ。主任保育士、園長になるには? をご覧ください。