たしかに残業は多いけど、保育士にはプライスレスな瞬間もある!(その1)
保育士の勤務体制と残業が増える仕組み
保育園事情によって、 一般的な勤務が可能なところとそうではないところがあります。
一般的に保育園は、子どもさんを7時から19時くらいまで預かっています。
よって、園を運営している時間は12時間ということになります。
そうなると保育士の勤務時間は12時間?というように思われますが、そうではなく、シフト制で子どもの保育に当たっているのです。
これも一般的な話になりますが、4歳児担任という保育士さんの一日、一ヶ月の勤務の内容について見てみましょう。
子どもは8時半ぐらいに登園しますが、だからと言って先生も出勤時間の8時20分でいいかというとそういうわけにはいきません。
前の日に、「明日の準備」をしていたとしても8時には入って着替えたり、子どもたちを迎えたりする準備をしなければなりません。
子どもたちが帰るのが15時としましょう。
「さようなら」をして、小学生の高学年のようにすぐに帰ってくれればいいのですが、保育園の場合はお迎えで、保護者の方が来られます。
そこからが結構長くなります。
一日平均3組ほどの親子が、担任の先生に、相談や雑談が始まるのです。その時間は平均一時間です。
- 「昨日帰ってきて、○○ちゃんに押されたというのですが、先生、何かご存知ありませんか。」
- 「(おもらしをして)最近体調が悪く、家でももらしてしまうんです。園で気になることってないですか。」
というようなお話です。
「私は知りません。分かりません」で済むならいいですが、絶対にそういうわけにはいきません。
じっくりと保護者の方の話を聞いて、 免許のあるプロの保育士ですからアドバイスもいるでしょう。
子どもも保護者も帰って、 「さあ、これで帰れる!」と思われるでしょうが大間違いです。「ここから始まる」といってもいいぐらいです。
明日使う教材の準備をしたり、いろいろな後片付けをしたり、先輩や同僚と打合せをしたりと、毎日必ず何かがあります。
さらには、作品展や運動会、生活発表会など、月に何回かある行事の準備も、1ヶ月前ぐらいから毎日準備をしていきます。
これらは16時から始めて17時には100%終わることはありません。
さあ、ここまでくると「残業が増える仕組み」というものがお分かりになるでしょう。
8時に出勤するだけでも前残業なのに 「今日は何時に帰れるだろう?」という思いを毎日持って働いているのが、保育士事情 なのです。
そのほかにも、シフト制を取っている保育園では次のような勤務体制のところもあります。
民間では週休2日制が当たり前のようになっていますが、保育園ではなかなかそういうわけにはいきません。土曜日に保育を行っている園は、休日も含めて1日が休みというパターンで休みを取るようにしています。
延長保育、早朝保育、夜間保育
延長保育を取り入れている保育園も多くあります。
上述した時間から2~3時間ほど延長して子どもを預かります。
シフト制で延長保育を合わせて決めている園もあれば、延長保育はパート雇用の形で保育士を雇っている園もあります。
最近では、もっと遅い時間に預かる夜間保育を行っている園もあります。(夜10時ごろまで預かってくれる園もある、特別な保育園は深夜から朝方まで預かってくれる)
保育士の残業時間はどれくらい?
保育士の勤務時間についてみてみましょう。
前述の一般的な勤務の場合は、時20分~16時(昼休憩は園児と一緒にとるので、「なし」という形になる)ということになります。
(一般的な勤務時間を7時間40分とすると)一般的な保育園での勤務では、正社員採用の保育士なら始業が7時というところも少なくありません。
それで勤務終了が18時頃だとすると、 3時間あまりの超過労働ということになります。
シフトを組んでいる保育園の場合は、おおよそ以下のようになります。
- (早番の場合)7時〜16時
- (昼番の場合)9時〜18時
- (遅番の場合)10時〜園児が帰るまで
園によって、また保育士の人数によって時間帯は変わりますが、早番と遅番が週に2回ほど回るようにシフトを組むのが一般的です。
準備や片付けを含めると12時間あまりの勤務を、早番と昼番と遅番で回していくことになりますの。
シフト制になっているとそんなに残業の心配はいりません。
しかし、園児という、まだまだ 心も体も弱い子供ですからハプニングはつきものです。
保護者の方に当該の保育士が説明をしなければならない場合も出てきます。
また、保護者のお迎えが、急用や事故で遅れる場合も、園児をほおって帰る訳にはいきません。
そんな場合は残業となります。
保育士のサービス残業 実際の事情と体験談
シフトのない一般的な保育園では 3時間の残業は当たり前なのが実態なのです。
また、残業代が出ないとなると、なかなか長く続けるのは難しいでしょう。
先輩や同僚の愚痴を言いながらも働いているという実態は、一般企業にもあるのでしょうが、つらい仕事であることには変わりありません。
先輩と飲み会などに行くと「私も長時間働いてきったわけだし、これぐらいで弱音を吐いていたら、やっていられないわよ。」という言葉にうなずくしかありません。
また、飲み会に行けるときは月に一回ほどです。
いわゆる持ち帰り残業もあるからです。
子どもの作品を大きな紙袋に詰めて、家に帰って添削する、あるいはもうすぐ始まる運動会のお遊戯の案を練る… 本当に数えきれない持ち帰り残業がある のです。
- 保育士不足?
- 保育士のお給料がよくなる?
- サービス残業がなくなる?
- 持ち帰り残業もなくなる?
こんな疑問に対して、 国が本腰を入れて議論し始めました。
実際、上述したような超過勤務や残業の実態がある限り、これからも保育士は現場から去っていくでしょう。
それを解消するための動きは確かに起こっているのです。
保育士の労働環境改善の風潮や、法整備など、急ピッチで進められているのは、マスコミなどでもよく取り上げられています。
もしあなたが、体や心を壊すまでして今の職場の勤務実態に限界を感じているなら、シフト性がある 保育園などへの転職 を考えるのもいいと思います。上述しましたが、シフト制であれば、ほとんど残業のない仕事が可能になります。
保育士の残業はなくならない?
はっきり言って、「先生」と呼ばれる方(もちろん保育士含む)の 残業がなくなることはありません。
一般企業でもそうでしょうが、コンベアーがストップして「はい、今日はここまでです!」という仕事は少ないのです。
まして、生身の人間と接している仕事に終わりはありません。
でも、「保育園でお仕事をしてよかった」と感じている保育士さんもかなりおられるという事実もあることも述べておきたいと思います。 残業、お仕事の大変さに見合わないお給料でも「よかった」と言えるのはどうして なのでしょうか。
(その2につづく)
※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。