保育士から見た乳児保育。求人は人気?実際の現場は厳しい?
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 乳児院で働きたい保育士さん
対象者は続きをお読みください。
乳児保育の求人について聞きました
乳児保育に特化した求人も見られますが、保育士さんの間では乳児保育は人気ですか?
法的には0歳児を乳児と言いますので、「0歳児保育」という言い方もします。
現在、乳児保育は、働くご両親にとって必要不可欠なものといえますね。
また、乳児保育は、保育の原点でもあります。
0歳~2歳児までと言いますと、人間にとって最も心と体が成長する時期です。
親御さんにとっては、子育ての大切な時期でもあり、保育士が代わりとなって、乳児に対応していかなければならないのです。
ですから乳児への授乳や食事、睡眠、排泄、遊びというすべてにわたって目を離せない環境の中で保育をしてあげなければならないという大変さはあります。
このような きめ細かく細心の注意をしながら働くという乳児保育を「やりがい」と感じる方には人気 があります。
乳児保育に限定して求人を探す場合、気を付けることは何ですか?
できれば、保育所訪問をして、仕事内容や働きやすさを確認することをおすすめします。
仕事内容については、保育士経験のある方ならばある程度把握されているでしょう。
ただ、乳児保育を行っているところは少人数のところが多く、その仕事内容をしっかりと確認しておく必要はあるでしょう。
また、働きやすさの確認も大切です。
保育環境がどの程度であるかということです。
これは、仕事内容とも関係しますが、乳児保育の場合には清潔第一でしょう。
保育所の「清潔」という視点に絞って訪問時に確認しておきましょう。
その 環境こそが働きやすさに通じるのです。
乳児保育で働くうえで、とくに求められるスキルはなんでしょうか?
ていねいさ
ていねいに拭いてあげること・・・我が子と同じような気持ちでおむつを替えてあげる気持ちが求められます。
あえてスキルと言います。
このスキルは人間性ともいえますが、全国のすべての乳児保育を担当している保育士さんに持ってほしいですね。
よだれの処理、お手拭などにおいても、都度ていねいに拭いてあげることも大切です。
乳児とはいえ、 清潔というしつけは身をもって分からせてあげること です。
変化を見逃さずに保護者に伝える能力
保護者の方と良好な関係をつくることは保育士だけでなく、先生と呼ばれる方なら当然持っておきたいスキルといえますが、乳児保育を担当する保育士は、 子どもさんの変化を見逃さずに保護者の方に伝えやり取りすることが重要 です。
乳児の変化は日々大きいですね。
乳児保育の「実際」を聞きました
保育所や乳児院など、乳児保育の現場もさまざまだと思いますが、乳児保育の厳しさって何ですか?
乳児は発達が顕著ですから、いつの間にか物をつかんで引き寄せるようになっていることもあります。
そんな時に、誤飲が起こるのです。
これを最大限防ぐ方法は、上述しましたが、保護者の方との共有です。
連携です。
家庭と保育所で、子どもさんの日々の成長について、しっかりと情報交換が出来ていれば、防ぐことができるのです。
転倒、転落などの事故についても同じことが言えます。
また、乳幼児突然死症候群も世間で話題になっていますが、そんなリスクもあります。
安全という意識の元で、 常に見守ってあげなければならないという厳しい一面 もありますね。
また、乳児でも6カ月頃までは、母乳のおかげもあって免疫機能があり感染症にかかりにくいのですね。
でもその時期が終わりますと感染症の心配をしなければなりません。
多くの子どもさんがおられる中での予防になりますので、 手拭などはこまめに行う必要 があります。
急な発熱などの対応と保護者への連絡などを確実に行う必要がありますね。
乳児院の場合には、保護者の代わりに赤ちゃんのお世話、子育てをするのですから夜勤も当然あります。
赤ちゃんのお母さん役ですから、 体力、精神力をはじめ、その成長に関わる「責任」が重く、たいへん厳しい仕事 になります。
乳児保育は、お子さんがまだ小さいこともあり事故や病気といったリスクもあると思いますが、ヒヤリとした瞬間ってありますか?
うつぶせの状態になったときと転倒したときにヒヤリとすることがありますね。
寝返りをしだした頃、お母さんとも十分にコミュニケーションをとる ようにしています。
「今日こんな場面で寝返りをして、見ていてすごいなあと思う反面、こわいなあとも感じたんですよ。お家でも気を付けてあげてくださいね。」
そんな会話をしながら共有していきました。
転倒も十分気を付けなければいけません。
立つことができるようになったとき、やっぱりこわい ですよ。
我が子なら一人をみていればいいのですが、3人、4人と見るお子さんがいますとたいへんです。
ヒヤリハットについては 知ってます?ヒヤリハットが多い保育士は事故を未然に防ぐ人 をご覧ください。
保育士さんからみて、乳児保育のメリットって何ですか?
でも心身の発達が著しい人間にとってたいへん重要な時期に、赤ちゃんの成長を日々目の前で見ることができる、と考えるとやめられません。
保護者の方に代わってこの子どもさんを育てているという生きがい ともいえるようになっています。
保護者の方も仕事で疲れて帰ってこられますので、あまりゆっくりと話ができないのは残念なのですが、「○○ちゃんが今日初めて手で体を支えてハイハイみたいにしたんですよ!」と言える瞬間の嬉しさは、成長の喜びを共有する瞬間です。
子育てで悩んでいるお母さんも多いですよ。
そんなお母さんに、私の経験や学んできていることをアドバイスできるというやりがいもあります。
私の意見に耳を傾けてくださり、「先生の言われたようにやってみたら、うまくいきました!」そんな声を聞けるのも乳児保育ならではメリットと言えますね。
乳児保育の場合は、保育士一人あたりの園児数も少ないですので、 一人一人にきめ細かい保育ができるという点 も働いていて魅力だと感じる部分です。
今後は乳児保育に関わる保育士が増える?
「子ども・子育て支援新制度」のスタートに伴って、(小規模保育の)乳児保育所の動向を教えていただけますか?
ワンポイント!!
子ども・子育て支援新制度って?
子ども・子育て支援新制度(平成24年8月成立)とは「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という子ども・子育て関連の3法に基づく制度のことをいいます。
引用元:内閣府
中でも働く女性の増加により0歳~2歳児の待機児童が多くなっているという統計結果があります。(平成28年4月時点待機児童…20,446人・全体の86.8%)
参考:厚生労働省
この新制度では、特に0歳児の待機児童の解消を中心に、小規模保育施設の増加を目指しているのです。
このような実態をみますと、 今後も小規模施設の数が増え、乳児保育を担当する保育士の需要が高くなっていく と考えられます。
小規模保育所については 小規模保育所は保育士にとって働きやすい?メリットや給料など を解説をご覧ください。
乳児保育は、保護者、行政、事業主など様々な視点で語られますが、保育士から見た乳児保育とは、どのようなものでしょうか?
結婚・出産などで、会社を休職あるいは退職したものの、経済的な部分や労働意欲などの視点で、一日も早く働きたいという思いを持つものです。
そんな時に0歳児からみてくれる保育所の存在は大きいといえます。
行政の立場では、住民のニーズに応えるのが仕事ですから、保育所確保という目的のもと、計画的に保育所の増設や新設を実施し、人件費や設備費等の給付を支援していかなければなりません。
そのためには、国や都道府県の援助も必要です。
事業主の立場では、0~5歳児を対象にする保育所ですが、何と言っても片時も目を離せない0~1歳児の保育はたいへんです。
乳児保育を行うために、責任ある保育士さんの確保を目指さなければなりません。
乳児保育はたいへんだ!保育士から見ると、乳児保育は、動きも少なく保育そのものは楽な赤ちゃんである反面、
泣くことでしか訴えられない赤ちゃんの変化を見逃さずに、また、「抱っこ」という重労働にも耐えなければならないということ がいえます。
このような状況を見ますと、乳児保育は他の年齢の保育に比べて、その需要は多く多くの支援を受けることができるといえますね。
それだけ貴重な存在でもあり、期待も大きいのですが、 その期待を感じる分責任も大きい といえますね。
※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。