保育園での子どものケンカは本当に保育士が止めなくてよい?
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- 子どもどうしのケンカやトラブルの対処法で悩んでいる人
対象者は続きをお読みください。
保育園でのトラブルでつきものの子ども同士の喧嘩。
まだまだ保育士を始めたばかりだと戸惑ってしまいますよね。
保育士歴が長くなっても、その子の性格や、子どもが時代と共に変化していく事で、接し方は変わってくると思います。
今回は子どもが喧嘩になってしまった時の、 保育士の対応の方法と喧嘩を止めなくても良い場合について紹介していきます。
保育園でケンカが始まったらどうすればいい?
保育園で喧嘩が始まった場合は、
- 怪我の有無を確認する
- 周囲の状況を把握する
- 二人がどんな状態か、どんな精神状態化を把握する
- その上で感情的になり始め話し合いが不可能になったら介入する
(※乳児の場合は雰囲気を見てなるべく早めに介入をするようにする)
上記が一応の流れだと思います。
①、②はざっと確認し、もしも片方が怪我をしている子や、トラブルに巻き込まれて泣いたり怪我をしてしまっている子がいる場合はすぐに他の保育士に助けを求めてそちらの対応をお願いします。
自分は喧嘩を起こしている二人に付くようにして 安全を確保 してください。
そして、介入するのは 感情的になったり、声を荒げそうな雰囲気になって来てから にしましょう。
子ども達は徐々にですが自分達で話し合いを行い、 自分で解決する力をつけなければいけません。
乳児 はまだまだ言葉が不自由なので、 咄嗟に手が出てしまう場合もある ので、 なるべく早めの介入 が必要な場合が多い傾向にあります。
幼児の場合はお互いが泣き出したり、手を出しそうな雰囲気になるまでは、 自分達で話し合いをする姿を見守って あげてください。
見守っていてもいいパターンの保育園でのケンカとは?
ここでは見守っても問題ないパターンの喧嘩を紹介していきます。
お互いが静かな声で話し合えている
子どもは感情的になったり、言葉が伝わらずにイライラした際には声を荒げたり涙を浮かべる事があります。
そうなると更にパニックになってしまい、自分で相手に気持ちを伝える事は難しくなってしまいます。
そこで、 一つの指標となるのが子どもの声量や口調 です。
お互いに怒っていながらも、 言葉のキャッチボールが出来ている内は問題ありません。
すぐにでも制止をかけられる場所から子どもの話を聞き、話し合いをしようとする姿勢を大切にしてあげてください。
二人だけで話し合っている
子どもはついつい正義感から他の子どものトラブルに介入したがります。
そうする事で更に混乱が酷くなり、一人の子どもを責めてしまうという事もあるのです。
そこで、二人だけで話し合えている場合は、そっと近くで見守り介入できるようにして、 二人の話し合いの時間を大切に してあげて欲しいと思います。
泣いていない
泣かずに一生懸命自分の考えを伝えている場合 は、多少言葉に詰まっていても、 見守る事で子どもの問題解決の能力を高めてあげる事が出来ます。
泣いていると、やはり話し合いは難しくなるので保育士が介入し、簡単な気持ちの代弁を行いますが、泣いていない場合は近くでそっと見守ってあげて欲しいと思います。
すぐにでも止めなければいけないパターンは?
今度は逆にすぐに止めないと危険なパターンの喧嘩を紹介していきます。
お互い興奮している
お互いが興奮して言い合いのようになっている場合は危険です。
言葉が通じないイライラで咄嗟に手が出てしまう可能性があるからです。
泣きながら叫んでいる場合などは特に危険なので、 すぐに介入して手が出ない位置に子どもを引き離して 話し合いに介入しましょう。
噛み付きを持っている子
言葉がなかなか出ない子、ストレスを抱えている子の中には、 噛み付いてしまう子どもがいます。
噛み付きは痕が残るので、子どもにとっても保護者にとってもかなり嫌な物です。
噛み付く力が強いと、鬱血して最悪手術を要する場合もあります。
噛み付きの癖を持っている子は、特に注意が必要です。
普段から気にかけて、 トラブルになったらすぐに駆け付けましょう。
かみつきが起こったら こう対応しよう!保育園でかみつき発生。保護者対応、クレーム等 をご覧ください。
保育園のケンカが終わったあとの接し方は?
保育園の喧嘩が終わっても、「喧嘩はいけない事だ。」と態度で伝える為に怒った雰囲気や言葉を使う保育士もいるようですが、それが一概に正解とは言えないと思います。
子どもは話し合いを行い、お互いに話し合う事で納得して謝罪も行いトラブルを解決したのです。
その姿勢を大切にする為 にも、 トラブルが終わったら切り替えて、あっさりした態度 で接する方が子どもも
「トラブルが起きても、話し合って分かり合えば良いんだ。」
と回数を重ねる度に理解していくと思います。
保育士が怒った態度を取っていては、子ども達は
「自分達はいけない事をしたんだ」
と思い、どんどん抑制されて友達とのトラブルも起こさず、失敗を酷く恐れる性格傾向に変化したりします。
問題が起きても解決方法が分からない子どもに成長しかねません。
そうならない為にも、 保育士はトラブルの後の気持ちの切り替えにも対応する必要があります。
子どもが言いつけてくる場合はどうすれば?
子どもは正義感から保育士に言いつけてくる事があります。
その場合は、 「そうなんだね、教えてくれてありがとう。先生が見守るね。」とあっさり声を掛けて、 問題に もう介入しなくて良い事 を伝えます。
たまに、ゲームのトラブルで一対多数で喧嘩をして言いつけに来る事もあります。
その場合は、
「うん、悔しかったんだね。でも、そんなにみんなで強く言わなくても〇ちゃんは分かっているんじゃないかな?」
と 一対多数である事をやんわりと注意 し、改めて
「〇ちゃんも〇しちゃだめってわかったよね。」
と優しく声を掛けて、改めてルールを守る事を皆に伝えて見守れば良いと思います。
子どもの言い分を聞くときに気をつけることは?
子どもは保育士に怒られたくないという気持ちから、 つい嘘を吐いてしまう事もあります。
その見極めも保育士は求められるので、頭から状況判断で子どもを叱ったり、怒鳴ったりしない方が賢明です。
まずはトラブルになった子ども二人に状況を教えて貰い、双方の食い違いを一つずつ「〇君はこう言ってるけどな?」と お互いに確認を行うのです。
そうする事で、 食い違いを段々と減らして、真実が見えてくると思います。
泣いているから、可哀想だから、怪我をしているからと弱い方ばかりの味方をするのではなく、必ず二人から話を聞く様にしましょう。
NGな接し方
最初から決めつけで、「〇しちゃだめって言ったでしょ!」と 喧嘩事態を責め、そして周囲から聞いた事情を信じ込んで一方的に叱る のはあまり良くない接し方と言えます。
子ども達には一人ひとり主張があり、そして考えがあってトラブルに発展しているのです。
周りが見ていたのはその喧嘩をしている状況のみで、その二人の気持ちは見えていません。
どんな状況にあったとしても、 お互いの思いや気持ちの違いを引き出し て、 落としどころを見つけて納得 できるように介入する事が大切です。
子どもがケンカで怪我をしてしまった場合は?
子どもはまだ自分の気持ちを相手に言葉で伝えるのは苦手なので、 つい手が出てしまう事があります。
その結果怪我をしてしまった場合、 まずは保護者に謝罪が必要です。
やはり保護者は大切な我が子が怪我をした事に怒る気持ち、そして相手の子どもへの申し訳ない気持ちで複雑になっていると思います。
まずは、保護者に誠心誠意謝りましょう。
謝り方も、
「実は今日〇が原因で、〇君と〇ちゃんが喧嘩になってしまったんです。私達が〇君の気持ちを察して、喧嘩にならないように配慮しておけばよかったと反省しています。大変申し訳ありませんでした。」
と、 詳細に何で喧嘩になったのかを説明 しましょう。
そして、原因はどうあれ、「あなたの子どもも悪かった。」という言い方ではなく、「〇君は〇したかったみたいで」と 気持ちの違いを強調しましょう。
そうする事で、 保護者も冷静に何があったのかを受け入れ、 怪我に対しての怒りはあってもトラブルの原因は理解して貰えると思います。
理由も分からずに我が子が怪我をする事を保護者は特に嫌う ので、きちんと状況説明は添えるようにした方がいいと思います。
保護者との信頼関係の詳細は 【子供・保護者】保育士の信頼関係の築き方。私だけ築けない・・・ をご覧ください。
年齢ごとによくあるケンカやトラブルは?
乳児期(0~2歳児前半)までは、言葉が不自由である事や、順番を守る概念がなかなかない時期なので、 物の取り合いや遊具の取り合いでよくトラブルが起きます。
また、この乳児期はなかなか自分の気持ちを言葉で表現しづらいので、 手が出やすい時期でもあります。
ですから、 噛み付きや押したりなどの手が出るトラブル にも注意が必要です。
幼児期はルール遊びを中心に遊ぶ年齢 になっていくので、 ゲームの中で喧嘩になってしまったり、トラブルへ発展 してしまう事が多いです。
また、このルールトラブルは、「〇先生はいいって言ったもん!」と、 保育士によってゲームルールが変わってしまっている 場合もあるので、まずは 保育士が共通したルールを持ち、 指導を統一する事から始めた方がいいと思います。
【体験談】
子どもどうしのケンカ事例と対処法
子どもどうしのケンカ事例と対処法
私は乳児クラスを担当していた時、子ども同士で玩具を取り合うトラブルに遭遇しました。
二人とも必死で玩具を引っ張り合い、 取り合いになりお互いの爪が手に食い込みそうになっていた為、 すぐに制止を掛けて二人を引き離し、話を聞きました。
二人とも「先に自分が遊んでいた」と言い張っていたので、 まずは周囲を確認 して一つ一つの玩具を指して、「これは誰が遊んでいたのかな?」と聞き、 どちらがどの辺で遊んでいたのか を把握しました。
そして、 他の先生にもどちらが後から遊びに加わったのかを確認 し、
「〇君、〇ちゃんはここでずっと遊んでいたみたいだけど、〇君は何して遊んでいたの?」
と後から遊びに加わった方に尋ね、「〇が欲しかったから、〇から来た。」と言ってきたので、
「じゃあ〇ちゃんが先に遊んでいたってことだね。順番は守ろうね。次貸してって〇ちゃんにお願いしてみよう。」
と声掛けをし、 時間を決めて玩具の貸し借りを行いました。
転職したい・・・なら保育士求人転職プロへ※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。