【体験談】保育室の環境構成で実際にやったビフォーアフター

このコンテンツでは下記の方が対象です。

保育室の環境構成について知りたいと思っている保育士さん

対象者の方は続きをお読みください。

保育士の今出川麗子です。

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  • 保育室の環境構成について知りたいと思っている保育士さん

対象者は続きをお読みください。

保育室の環境は、保育士の工夫によって大きく変わるものです。

例えば安全面で考えると、保育室にボールを無造作に置いていると危険です。

園児が気づかずにボールの上に乗ってしまって後ろ向きに転倒し、後頭部を打つということが起こりかねません。

そこで考えなければならないのが「安全面の工夫」です。

ボールをどう収納するか、保育士が安全確認をどう分担、どうチェックするのかということが大切 になります。

この保育室の環境構成を考える時に必要なポイントは3つあります。

  • 「安心・安全」
  • 「発達段階に応じた興味」
  • 「保育・教育」

というそれぞれの視点です。

ここでは、「保育室の環境構成で実際にやったビフォーアフター」を私の体験に基づいてお話しします。

保育の環境構成は、とても奥の深い話題。物的環境、室内装飾、人的環境など、どういった環境が適しているのかと悩むこともあると思いますが、どんな保育をしたいかを考えることはとても大切ですね。

  • 「子どもたちにとって、生活しやすいような雰囲気や空間を作っていきたい」

そのような保育士さんの参考になればと思います。

【体験談】保育室の環境構成で実際にやったビフォーアフター

ビフォーの状況

安心・安全

ボールが無造作に転がっている状況は、ボール入れから転がり落ちた場合があるのです。

保育園では片づけの習慣から「○○入れ」というボックスを作って置いているところが多いです。

ただ、このボールの例のように、容量が小さいもの、入れ方が乱雑になるものなど、しつけや安全面を考えると、結構 荒っぽい と言えます。

発達段階に応じた興味

心や体、動きなどが発達する園児ですが、その興味が違うことに気づかずにいると、保育室から出て行ってしまう、いつの間にか眠っているということになってしまいます。

園児の安全面を配慮するあまり、お部屋に何も置かないようにする園があるようです。

そうなると、保育室というよりは、プレイルームですね。

保育・教育

先ほど述べましたプレイルームのように、何も置いていない方がいいのでしょうか。

場合によってはそれも必要でしょうが、 保育・教育の視点 で見ますと少し違います。

反対にある保育園では、園児の興味を引くために、多くの掲示やアイテムが置いてあります。

園児は手を伸ばせば、何かで遊ぶことができる状態になっています。

アフターの状況

安心・安全

保育室の環境を考える時に、保護者の立場で考えるようにしてはどうでしょうか。

保護者は、何よりも我が子の安全を考えます。

震災がいつどこで起こるか不安な世の中です。

そういうところに目を付ける保護者もいます。

  • 園児の道具入れの棚は固定されているか
  • 上から物が落ちてくることはないか

などです。

また、机などが置いてある場合など、

  • 角にクッションが付いているか

さらに、不審者侵入時の防犯対策として

  • 「さすまた」が置いてあるかなど

安心・安全を確実にしておかなければなりません。

これらは、本来保育園としてきちんとされなければならないことです。

また、用具や道具の収納には配慮しなければなりません。

ボックスに入れるのはいいでしょうが、その 容量に応じた大きさのボックスを用意してネットをかぶせておく などの配慮です。

園児がすぐに出せる状態にしてしまうとすぐに散らかり、上述した 「ボールでの転倒事故」 などが起こってしまうのです。

発達段階に応じた興味

これは、後ほど述べます「○歳児の保育室の環境構成のポイント」を参考に見ていただければと思いますが、保育園の園児は、それぞれの年齢で大きく心や体、動きなどが発達します。

その発達段階に応じた興味というものを工夫しなければなりません。

○歳児が興味を持って取り組むものは何かということです。

2歳児を例に挙げて、発達段階に応じた興味ということを考えてみましょう。

2歳児といってももう3歳になっている園児もいますし、まだ2歳という園児もいます。

しかし、興味を持つものは家庭環境が大きく左右するものです。

そこで、 保護者アンケートなどで、その家庭環境を探りましょう。

好きなキャラクター、今一番興味を持って見ているテレビ、遊びなど…週ごとでもいいですからそれらに関係のある壁面にしてあげるのです。

園児は、その年齢に応じていろいろなものに興味を示します。

発達段階に応じた興味をつかんでおく必要があるのです。

保育・教育

保育・教育ですから、そこにねらいがなければなりません。

わかりやすく言いますと、「何のためにそうしているのか」ということです。

「何のために物を置かないのか…園児に歌とダンスの指導をするため」ならいいでしょう。

でも「何のためにそこ(園児の手がすぐに届くところ)に用具や道具を置いているのか…すぐに出し入れができるため」では困ります。

安全面の配慮や園児の興味のことを考えると、 手の届かないところに収納する工夫をしなければなりません。

年齢や園児の性格によっては言うことを聞かず、すぐに遊び道具のところで遊びだしてしまうからです。

コーナー保育という教育があります。

保育室をパーテーションで仕切ります。

遊びのローテーションが可能になります。

引用元:長尾保育園

この方法は、小学校でも取り入れられ、体育館などで運動をする時に、

  • 「跳び箱コーナー」
  • 「マットコーナー」
  • 「平均台コーナー」

と分けられるのです。

園児も保育室を区切ってあげるといろいろな遊びができます。

  • 静かに絵本コーナー
  • お絵かきコーナー
  • モノづくりコーナー
  • パズルコーナー

など、それぞれのコーナーに分かれて遊び、15分ほど経ったら次の遊びに移動していきます。

集中できるようにパーテーションを工夫して遊べる環境づくりをしてあげてください。

工夫ができる環境構成は?

上記の3つの視点における工夫は、それぞれが園児の生活に直結しています。

保育士はその保育室で楽しい活動ができ、快適な生活にしていくために清潔を心がけたり、壁面掲示やパーテーションでの仕切りなどをしたりして工夫をしています

1.毎日の掃除が大切。

毎日の清掃では隅々までということでしょう。

また、床のほこりについても注意が必要です。

ほこりや小さなごみは、確実に取り除いておきます。

1歳児前後の園児は、まだまだ心配です。

大掃除の時には、まずエアコンのフィルター清掃です。

エアコンからほこりが噴出しては何にもなりません。

また、照明や扇風機にも配慮しましょう。

2.保育室環境では「そろえる」が基本

裸足になることもある保育室です。

そんな時にくつを「そろえる」ことを学ばせるという工夫も必要です。

「お部屋で楽しく遊ぶために、まず靴をそろえましょう。」という先生の声で、「そろえる」ことで快適に過ごすことができるという思いを園児たちに持たせるのです。

これは、 「物を大切にする」という教育にもつながります。

物を大切にするということを学ばせるための保育室の環境の工夫です。

3.「誰が一番かな」お片付けチャンピオン!

園児の中には、ほっておくと乱雑に片づけてしまう子もいます。

園児の棚や用具ボックスの中、本棚などがいつもきれいに整理されているようにすることも保育室の環境づくりの一つです。

幼少児にはしつけとして、 4,5歳児には教育として、保育室環境がいつもきれいな状態であれば心が落ち着くということ を植え付けましょう。

どんな効果があった?改善されたことは?

2.3.の「そろえる」「誰が一番かな」の効果はかなりありました。

その反響は保護者の方からです。

「家で家族みんなのくつをそろえるんですよ。」

「後片付けの嫌いな子が『お母さんと勝負するなら片付ける!』と言って競争のようにしてくれるようになりました。」

こんな声が聞くことができて、環境構成というものの大切さを実感した ものです。

保育室の環境を考えるときの基本的な考え方

内容をはっきりとさせ、どんなねらいで園児と接していくか、保育室の環境を考えるときに大切なことになります。

以下3つの視点のねらいをお話しします。

安心・安全

保育士だけではない、 保護者も園児も巻き込んで考えることをねらい にします。

上述の「防災や防犯」のために保育室をどのような環境にすればいいのかを、職員会議や保護者会でしっかりと話し合いましょう。

園児は保育士からの指導を受けながら、改善点を、身をもって示してくれるはずです。

発達段階に応じた興味

後述の「年齢ごとの保育室の環境構成のポイント」でも述べますが、園児の心や体、動きなどの発達段階による特徴をから、 興味のあるものをいかにして提示できるかがねらい となります。

興味あるものには飛びついてきてくれますし、そうでないものには見向きもしない、それが園児です。

保育・教育

保育者の姿を見て園児育つ、それが保育・教育の基本ですね。

あなたのはつらつとした姿を保育室で大いに見せてあげてください。

また、保育・教育の重要な部分として、あなたの言動を園児はまねるということがあります。

具体例として、園児は、その年齢からも人や物を模倣するのが大好きです。

小学校1,2年生でも体育で「模倣の運動」があるぐらいですから、当然のことともいえるでしょう。

そんなあなたは、 保育士として受け持った園児をどう育てたいですか。それが保育・教育のねらい になります。

年齢ごとの保育室の環境構成のポイント

ここでは、年齢ごとに見られる発育や発達(成長過程で見せる動き)から、保育室の環境構成のポイントを見ていきたいと思います。

【0歳児】

―0歳児前半―

(動き)

首がすわる、寝返りや腹ばいになる、上下左右に動くものを追う、目の前の物をつかもうとする、触ったものを握る

(環境構成のポイント)

0歳前半の赤ちゃんは、上ばかり向いていることが多いです。

あなたは実際に保育室で寝転んでみたことはありますか。

眩しくありませんか。

これが、0歳児前半の環境構成のポイントです。

できれば間接照明などの工夫もいる でしょう。

―0歳児前半―

(動き)

座る、はう、つかまり立ち、伝い歩きなどをする、両手に物を持ったり、引っぱったり、つまんだりする、口の中に玩具を入れ、なめたり、噛んだりする、音がする方を向く

(環境構成のポイント)

園児は、はう動作が多くなりますから口の中に玩具を入れ、なめたり、噛んだりする、音がする方を向く、 カーペットなどの敷物には特に配慮が必要 です。

カーペットの上にシーツを敷いている園もあるぐらいで、どうしても口がつくことになりますから、環境構成で一番に考えたいところです。

0歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の0歳児遊びの種類をご覧ください。

【1歳児】

(動き)

歩くなど、動きが活発になる、しゃがむ、跳ぶなどが面白い時である、手や指を使って物を積んだり転がしたりする

(環境構成のポイント)

広いスペースが欲しい ところです。

空いている時間にはどんどん自由に動き回らせてあげましょう。

できればトランポリンや大きいボールなどを入れて置ける余剰の部屋があれば保育室にすぐに運ぶことができるように、近くのお部屋がいいですね。

1歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の1歳児遊びの種類をご覧ください。

【2歳児】

(動き)

スプーンやフォーク、はしを使って自分で食べる、自分でトイレに行き排泄しようとする、衣服の着脱に興味を持ち、ズボンやパンツの着脱が自分でできる、自分の物を片付ける場所がわかる

(環境構成のポイント)

食べ物がこぼれやすいですね。

給食などの折にはカーペットの上にはかならずビニルシートを敷きます。また、排せつでは「おもらし」も起こります。

他の園児に影響が出ないように、 おもらしをした部分が隠せるようにブラインドのようなものがあるといい でしょう。

2歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の2歳児遊びの種類をご覧ください。

【3歳児】

(動き)

食事や排泄がほぼ自分でできる、衣服の着脱は、裏返しやボタン掛け、ファスナーなどの仕方がわかり、自分でしようとする、面白いものは、もっとやりたいという気持ちが強くなる

(環境構成のポイント)

おもらしをする園児はまだいますから、ブラインド等の工夫をしてください。

いろいろなものに興味を持つ年齢ですから、環境構成には掲示に配慮が必要です。

園児たちの興味を探って掲示してあげる のがいいでしょう。

3歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の3歳児遊びの種類をご覧ください。

【4歳児】

(動き)

「危険」「こわい」が分かるようになり、安全に気を付けて遊べる、運動した後の用具の出し入れなど、友達と協力してできる、いろいろなことに興味をもって挑戦する

全身のバランスがよくなり、運動遊びを積極的にする、集団遊びができるようになり、簡単なルールで楽しめる、基本的な生活習慣が身につき自分でできることが多くなる、

(環境構成のポイント)

「危険」「こわい」が分かるからこそ、 ある時期に限定して跳び箱(ウレタンの大きい四角いもの)のようなものを置いてあげる のも、環境構成の大切な考え方です。

「順番を守って安全に遊ぶ」ことを学ぶ大切な時期です。

4歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の4歳児遊びの種類をご覧ください。

【5歳児】

(動き)

時間的な感覚もわかるようになり、次に何をするかがわかる、状況判断しながら生活や遊びに取り組む、身の回りのことはほとんどできるようになる、数や量の違いなどに気付き、興味関心をもつ、遊びや生活の中で文字や数字に興味を持つ

(環境構成のポイント)

時計は大活躍するでしょう。

もちろん正確に学ぶのは小学校に入ってからですが、「短い針がちょうど12にきたら給食だよ!」ぐらいならわかるようになります。

デジタルでなく、アナログ時計でお願いします。

また、四季もある程度意識できますので、環境構成として、 掲示は、月ごとにこまめに変えてあげるといい でしょう。

いろいろな思いで見てくれますよ。

5歳児の接し方の詳細はこれは手応えあり!【体験談】保育の5歳児遊びの種類をご覧ください。

異年齢の環境構成で気をつけることやポイント

一斉活動や身体表現が主として異年齢集団で行われることになります。

給食やお昼寝も同じ保育室で行うことになりますから、上記の環境構成のポイントを見ていただき、配慮してあげればいいでしょう。

動き回るという活動をする時には、 「衝突」を十分気を付けてあげなければなりません。

1年の差であっても、園児の場合は大きく違うものです。

4,5歳児で、同じ転んでも、5歳児はうまく転びますが、4歳児は後頭部を打つこともあります。

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※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。