こう対応しよう!保育園でかみつき発生。保護者対応、クレーム等
保育士の今出川麗子です。
このコンテンツでは下記の方が対象です。
- かみつきが起きた対応に困っている新人保育士さん
対象者は続きをお読みください。
こんな風に感じていませんか?
- 「保護者の対応どうしたらいだろう」
- 「子供にはどういえばいいんだろう」
新人保育士で初めてかみつきを経験
新人保育士で1歳児や0歳児クラスの担任になると、クラス内でかみつき事故が発生する場合があります。
また、かみつき事故は力の加減が分からない0歳児や1歳児クラスで起きることが多く、大半の場合が腕や肩や場合によっては 顔などにくっきりと歯型 がついてしまう場合もあります。
ほんの一瞬目を離した隙や、目の前で突然起きるときもあるのがかみつき事故です。
新人保育士にとっては、 衝撃的な場面 である上に予想外すぎる出来事でパニックになってしまうこともあるでしょう。
しかし、びっくりしてあたふたしている余裕などはありません。
かみつき事故が起こったらどのような対応を保育士は取るべきなのか、しっかりと事前に確認しておきいつ事故が起きてもすぐに対応できるように備えておきましょう。
子供のケンカについては保育園での子どものケンカは本当に保育士が止めなくてよい?をご覧ください。
そもそもなぜ子供はかみつきをするの?
0歳児や1歳児のクラスの子どもたちは、まだ言語が未熟で幼児クラスの子どもたちのように発達していません。
そのため、自分の思いや考えを言葉にして相手に伝えることができません。
0歳児や1歳児の頃はまだ友達同士の関わり合いなどは少なく、1人遊びが大半です。
しかし、その1人遊びを友達に邪魔をされたり嫌なことがあったりした際に、言葉で伝える代わりにかみつきをして相手に思いを伝えます。
例えば、自分の使っていたブロックのおもちゃをAちゃんに横取りされた際、4歳児であれば「やめて」や「返して」などと言うことができます。
中にはブロックを横取りされた手をそのまま掴んで噛むというケースもあります。
また、0歳児や1歳児は歯の生え始めということで歯ぐきや歯がかゆくなっているため、かみつきを起こしやすくもなっています。
言語機能が著しく発達し始める2歳児にもなれば噛みつきは一段を落ち着きます。
そのため、0歳児や1歳児クラスの担任は噛みつきが起きやすい理由を把握した上で、 かみつき事故に備える 必要があります。
保育園でかみつきが起こった時の対応。謝罪の仕方や伝え方
かみついた子への対応
まず 相手の子と距離を離し、 再び噛みに行かないようにします。
その後、噛みたくなってしまった気持ちを受け止めながらも、噛むことはいけないことであると伝えます。
- 「ブロック取られて嫌だったね」
- 「でも噛んだら○○ちゃんおてて痛いよ、やめようね」
とわかりやすく伝えましょう。
少し月齢が高く理解できる子なのであれば「取られて嫌だったら、やめてって言おうね」などと伝えても良いでしょう。
大事なのは、いくら噛んだのが駄目であっても、 くどくどいつまでも叱っていてはいけません。
長時間叱られていても、子どもは何で今自分が叱られているのかわかりません。
そのため、そのときに短く注意をし、その後同じ事故が起きないように配慮するように心がけましょう。
かみついた子の保護者の対応
友達に怪我をさせてしまった場合は、その日のお迎えのときなどに状況を伝えながら説明をするようにします。
その際、どうしてかみついてしまったのかということも伝えながら、「噛むのはだめなこと」と 注意した旨 もしっかりと話しておきましょう。
また、子ども同士のトラブル以外に中には家庭でのストレスでかみつき事故を起こしてしまう子どもも中にはいます。
そのため、 「最近おうちで何か困ったことなどありましたか?」 などと、家庭での様子などもこれを機会に一度聞いてみることもおすすめします。
かみつかれた子への対応
まず、相手と距離を離し、必要な応急処置を行います。
その後、痛かった気持ちを共感し受け止めながら、 どうして噛みつかれてしまったのか ということをわかりやすく伝えるようにしましょう。
- 「痛かったね。」
- 「でも、ブロック勝手に取ったらだめだよね」
- 「貸して欲しいときはちょうだいってしようね」
などと、月齢に応じた声かけを行うようにしてください。
その後、同じような事故が起きないように環境構成などを見直しながら見守るようにしましょう。
かみつかれた子の保護者の対応
噛みつかれてしまった場合は、お迎えの際に噛みつかれた部分の説明やそのときの 状況や援助内容について丁寧に伝え謝罪 をしましょう。
0歳児や1歳児の子どもは、自分の怪我や今日あった出来事などを、自分の言葉で保護者に伝えることはできません。
相手の子どもの名前を言う必要はありませんが、どうして噛んでしまったのかということなども伝え、その事故を防ぐことができなかったことをお詫びして下さい。
また、今後同じような事故が起きないように努める旨もしっかりと話しておきましょう。
保護者対応については保育士の保護者対応での失敗!保護者との接し方はどうすれば?をご覧ください。
かみつきが起こった直後の処置
かみつき後が出来るだけ残らないようにするためには、 冷やすこと が何よりも大切です。
流水もしくは氷などを用いてかまれた部分を冷やすようにしましょう。
ただし、まず出血があるかどうかによって処置方法は異なります。
保冷剤を巻いたタオルなどで患部を冷やしながら押さえ止血をします。
出血をしていない場合も内出血を起こしているので、保冷剤や流水などで冷やすようにしてください。
冷感ジェルシートなどを貼ると、剥がれた時にその部分を誤って舐めてしまったりシートに含まれている薬剤などが傷口から入ってしまう恐れがあります。
そのため、患部を冷やす際は 氷のうや保冷剤 を使用するようにしてください。
ある程度冷やして、腫れがひどくなっていなかったりあざが広がったりしていなければ、その後はそのまま様子を見るか必要に応じて次はタオルなどを巻いて温めるようにしましょう。
そうすることで、血流が良くなり、あざの治りが早くなります。
ただし、かまれた直後に温めてしまうと内出血がひどくなり、あざが悪化してしまう恐れがあるので、あくまでも 最初は冷やすということを徹底的に行う ようにしてください。
かみつきを予防しよう!
保育園でかみつき事故があまりにクラス内で多発したり連続したりしていると、 保護者からの信頼を失い かねません。
そのため、かみつきが起きないように保育士はしっかりと予防をしておく必要があります。
<環境構成編>
おもちゃの数は十分足りているか
おもちゃの数が子どもの人数に合わせて 十分足りていない 場合に、よくかみつきトラブルが起きます。
そのため、事前に同じ種類の同じ色のおもちゃを複数用意し、子ども同士がおもちゃの取り合いなどにならないように環境を整えておくようにしましょう。
死角がないか
死角があると、防げるはずの事故も防ぐことができません。
おもちゃ箱や着替え引き出しなどで 死角になるような場所に子どもが入り込んでしまわない ように環境構成を見直すようにしましょう。
子どもはどうしても狭い空間を好み、入り込みたがります。
そのため、その場合は別の角度から見れば死角ゼロというスペースを作り、そこで子どもたちが安心して過ごせるよう配慮することをおすすめします。
環境構成の詳細は【体験談】保育室の環境構成で実際にやったビフォーアフターをご覧ください。
遊び場に十分なスペースが確保されているかどうか
狭い空間に大人数の子どもが一緒にいることで、子ども同士の接触が増えトラブルになるきっかけも増大します。
同じおもちゃで遊んでいても、 身体がぶつかり合ったことをきっかけにかみつき事故が勃発 する場合もあります。
そのため、保育室の中でおもちゃを出して遊ぶ際は、そのスペースが 子どもの人数に対して十分 かどうかをしっかりと吟味した上でおもちゃを出すようにしましょう。
マットの上にブロックや積み木などを出して遊ぶ場合は、マットとマットの間にも十分なスペースを確保し、異なる2種類の遊びが混ざらないように配慮することも大切です。
<人的環境編>
子どもの人数に合わせた十分な数の保育士がいるかどうか
0歳児・1歳児それぞれ子どもの年齢によって必要な保育士の人数は異なります。
保育士の目が多ければ多いほど、子どもとゆっくりと関わることができるためかみつき事故を未然に防ぐことが可能です。
万が一かみつき事故が起きそうになっても 瞬時に間に入り防ぐ こともできます。
しかし、トイレの援助や食事の介助などでどうしても遊びのコーナーが手薄になってしまう場合もあります。
そのような場合は少人数の保育士でも十二分に目が行き届くような環境構成にすると同時に いつも以上に気を張り詰め ながら子どもたちにかみつき事故が起きないよう見守るよう心がけてください。
かみつき事故を防ぐためには、 何よりも保育士が子どもの側 に常にいることです。
いつ起こってもおかしくないと肝に銘じながら、常に気を抜くことなく子どもたちと関わるように心がけましょう。
子どもに背を向けた保育を行っていないか
子どもの人数に対して保育士の人数がたとえ十分であっても、 子どもに背中を向けた状態 のままだとかみつき事故を未然に防ぐことはできません。
多くの場合おもちゃなどで遊んでいる際に、かみつき事故は起きがちです。
しかし、中には食事中やトイレで排泄を行っている前後などに突然かみつき事故が起きる場合もあります。
そのため、 いつ何時かみつき事故が起きるかもしれないと警戒 をしながら、子どもたちに背中を向けないように立ち位置を その時々で変え常に子どもたちに視線 を送ることができるように努めて下さい。
私の体験談
私は、1歳児クラスに臨時で入っていたときに、クラス内でかみつき事故が発生しました。
その当時私はまだ保育士1年目だったので、あまりの突然の状況に驚いてしまいました。
保育室内で自由遊び中、突然子どもが大きな声で泣き叫び、かけよると手首にくっきりと赤く腫れた歯型がありました。
側にいた保育士によると、おままごとのお人形を友達に横取りされ、かみつき事故が発生したとのことでした。
すぐに担任は噛まれた子どもと噛んだ子どもを引き離し、噛まれた子どもに応急処置を施しました。
そのとき、すぐに担任が処置を施したのが良かったこともあり、歯型の跡は残ることなく幸い傷も目立ちませんでした。
担任は、夕方の保護者のお迎えのときに噛まれた子どもと噛んだ子どもの保護者に事実をきちんと説明し、お詫びをしていました。
その際、噛んでしまった側の子どもの親は担任に「ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」と謝罪をしていましたが、噛まれた側の子どもの保護者は少し不機嫌そうな表情になり、 「防いで欲しかった」 と困った顔をしていました。
そのため、担任は誠心誠意保護者に謝りながらも
- 「かみつき事故が起きた具体的な原因」
- 「かみつき事故が0歳児1歳児に多い理由」
- 「防ぐことが保育士の仕事にも関わらず、防ぐことができなかったことへのお詫び」
- 「今後の対応について」
などを丁寧に順番に伝えていました。
そうすることで、噛まれた側の保護者は
- 「自分の子どもがお人形を横取りしてしまったのがそもそもの原因・・・」
ということを理解すると共に、
- 「言葉を話せない今の時期だから仕方がない」
- 「次は自分の子どもが他のお友達に噛んでしまうこともあるかもしれない」
などと話すようになり、 表情が少しずつ和らいでいきました。
その末、その保護者は状況をしっかりと理解し納得をした上で家に帰っていきました。
一歩間違えれば、 噛んだ保護者にまで文句 を言いかねない状況ですが、このようにきちんと丁寧に対応をすることで、大きなクレームなどになることなくお互い和解をして事を終えることができました。
かみつき事故だけでなく、保育園で起きる怪我などの事故はいかなる場合でも 保育士や保育園の責任 です。
子どもの大切な命をお預かりしている私たちだからこそ、どんなときでも決して事故を起こすべきではありません。
しかし、どうしても事故を防ぐことができなかった場合は、保護者との信頼関係を崩すことのないように誠心誠意心を込めて謝罪をし、和解できるように話をする大切さを学んだ瞬間でした。
※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。