保育の現場で子どもたちと歌を歌う場面はたくさんあります。
朝の歌から始まり、クラスの子ども達が好きな歌、季節の歌、給食の歌、お帰りの歌…
園の方針にもよりますが、音楽教育などに力を入れている園では1日に10曲近く歌を歌うことも多くあります。
運動会やお遊戯会などの行事前はもっと多くなるでしょう。
保育士はピアノの練習に加え、子ども達と一緒に歌えるように歌詞を覚えたり、音程通り正しく歌ったりする練習をしなければなりません。
特に、保育参観や公開保育などでは保護者からも見られ、保育の様子をビデオカメラで撮影されることも多いので子どもたちの前で堂々と歌えなければいけません。
子ども達は楽譜も読めないし、歌詞を見ながら歌うことも難しいので『先生の声』を聞いて歌を覚えます。
そのため、保育士が間違った音程で教えたクラスは、クラス全員が間違った音程で歌ってしまいます。
しかし、保育士の中には「歌が下手で恥ずかしい…」と悩む方も少なくありません。
だからと言って、毎日の忙しい保育の合間に歌のレッスンを受ける時間もありませんよね。
そんな方も普段、子ども達と一緒に歌を歌う中で少し気を付けるだけで、悩みを改善できる方法があります。
音程がとれず「音痴」で悩む方がとても多いです。一生懸命に歌おうと思うのだけど、緊張するとますます音が取れなくて…。
保育士の歌う音程が、毎回違うので子どもたちも迷いながら歌ってしまいます。
子どもの声は高く、その声に合わせると途中で声が出なくなることが多いです。
童謡なども比較的、子どもが歌いやすい音が多いので男性や、高音が苦手な人は途中で声が出なくなってしまったり、かすれてしまったりすると悩む方も多くいます。
自信が持てなかったり、子どもとはいえ大勢の人の前で歌うことに緊張してしまったりして声が出ないと悩む方もいますね。
そんな保育士の姿を見て、子どもたちも歌を歌うことに集中できなくなり、退屈してしまう子も出てしまいます。
それぞれの改善策として以下のことが挙げられます。
まずはピアノのメロディ(右手)は正しく弾けるようにしましょう。
和音があるときは旋律だけをまずは練習しましょう。
次に歌詞ではなく、自分の出しやすい音(「ル」や「マ」が出しやすい方が多い)でピアノの旋律部分だけを引きながら歌います。
この時、ピアノを弾いていない方の手で音の高さを上下に表現してみます。
ここで音程が正しくとれるようになれば、かなり自信につながりますね。
不安であれば、恥ずかしいかもしれませんが自分の声を録音して聞いてみるのも良いでしょう。
最後に、歌詞を当てはめて歌ってみるとだいぶ音程が取れるようになります。
子どもたちに教える時も、伴奏や和音のない旋律(単音)だけの方が子どもの耳に入りやすいです。
何度か練習し、子ども達だけで歌えるようになったら伴奏をつけて弾いてみましょう。
この方法であれば、ピアノの練習をしながら音程をとるトレーニングも出来ますね。
また、子ども達もしっかりとピアノの音を聴けるので音程を正確にとりやすくなります。
小さな子ども達に多い声の出し方は、大きな声で前に向かって音を出すやり方です。
特に、低年齢クラスの子どもたちは音程よりもいかに大きな声を出せるかを競い合いながら歌っている様子が見られます。
しかし、大人がこの方法で歌を歌うと、喉への負担が大きすぎて、すぐに喉を傷めてしまいます。
出しにくい高音だとついつい喉に力を入れて歌いがちですが、一生懸命に声をふり絞って歌った翌日、喉が枯れて保育に支障をきたしてしまった保育士の方も多いのではないでしょうか。
高音が出ないと悩んでいる方は、まずは発声の方法を変えてみましょう。
声を喉からではなく、頭から出すようにイメージするのです。
背筋を伸ばし、胸を高く上げ、口を大きく開けます。
そして、息を大きく吸い込み、頭から汽笛を鳴らすような感じで歌ってみると自然と高音が出てきます。
4,5歳児クラスになると「怒鳴らないで、綺麗な声で歌ってみようね。」と指導する園もありますが、この時に子どもたちに教える時もこの頭からの発声方法です。
「ぽっぽっぽー」と実際に機関車になりきって発声の練習をさせます。
ただ、音を出すだけでなく『ド・ド・ドー』『レ・レ・レー』…とピアノで音階を弾きながら、音に合わせて発声していきます。
また、音程がすぐに取れる方であれば、1オクターブ下げて歌ってみるのも良いでしょう。
大きな声で歌えない原因は大きく2つに分けられます。
前者の方は、普段の保育から声を出すよう心掛けてみてはいかがでしょうか。
遠くにいる子どもを呼ぶとき、わざわざその子の近くまで行って話し掛けるだけでなく、遠くから大きな声で呼んでみるだけでも変わりますよ。
しかし、4月の入園したての子どもや、進級明け、休み明けには中々保護者と離れられず、保育が始まってもしばらく泣き続ける子も多くいます。
そんな時に、担任の先生の楽しそうな声が聞こえたら子ども達も安心できますよね。
普段からなるべくお腹から声を出すよう心掛けてみましょう。
また、声量が弱くてピアノを弾くと声がかき消されてしまう方は、無理にピアノを使う必要はありません。
冒頭にも説明しましたが、子ども達は『先生の声』で歌を覚えています。
なるべく子ども達の興味を引く環境作り(声掛けや、手遊び等)で子ども達の関心を自分に引きつけてから、歌を教えればそんなに大きな声を出さずに教えることが出来ますよね。
後者の方は、まずは恥ずかしがらずにやってみましょう。
幼稚園の先生って子ども達の前で堂々と上手に歌を歌っているイメージがあるかと思いますが、全ての保育士がそういうわけではないですよ。
初めて子ども達の前で歌う時はとても緊張します。
緊張して歌詞を間違えたり、音を外してしまったりすることも少なくありません。
でも、子ども達はそんなことは全く気にしていませんよ。
子ども達にとって先生の歌の上手さよりも、どれだけ先生が楽しそうに歌っているかの方が重要なのです。
現に、歌の上手な先生のクラスよりも、正直歌はあまり上手ではないけど、いつも楽しそうに歌っている先生のクラスの子ども達の方が、歌が大好きで色々な歌を口ずさんでいます。
保護者から見ても、我が子が歌を上手に歌っている姿を見ればそれは嬉しいことですが、
楽しんで歌を歌っている姿を見る方が安心できますよね。
歌高音が出ないと悩んでいる方は、まずは発声の方法を変えてみましょう。
ピアノも必須!苦手な人は保育士でピアノ苦手は無理?ピアノを弾かない職場を探そう!をご覧ください。
保育の現場に出て「保育士ってこんなにずっと歌っているんだ~」と当時は驚きました。
クラス全員の前で歌を歌うなんて恥ずかしいし緊張すると思っていたのですが、
子ども達を一番引きつける方法は『先生の声』だったのです。
それも先生の楽しそうな歌声を聴いて、泣いていた子どもも泣きやんでこちらに興味を示してくれたり、「もう一回やって」と声をかけて来てくれたり、
子ども達との距離もぐんと近くなりました。
気付けば
と不安になる気持ちも消えて、今ではたまに私が歌詞を間違えたり音を外したりすると子ども達が笑ってくれて場を和ませてくれます。
また、子ども達の中にも「間違えることは恥ずかしいことではない」という意識も芽生え、
上手く歌えない子も楽しんで歌えるようになりました。
それでも、一度間違って教えてしまった歌詞や音程を直すことはとても大変です。
保育士としての責任感を持ちつつ、子ども達と楽しく歌を歌えるよう日々努力していくことが大切ですね。
※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。