いまや世界を代表する超大国・アメリカ。
映画やファッションなど、文化を中心に注目されているアメリカですが、どんな保育が展開されているのでしょうか?
今回は、「アメリカの保育事情が知りたい!」という保育士向けに、アメリカの保育現状や、保育士の給料、保育内容、離職率についてご紹介します。
アメリカの保育サービスは、民営化が進んでいるので、公立保育園などは、かなり少なめ。
アメリカの民間の保育施設は、主に3つに分類されています。
以下、それぞれの保育施設の特徴をまとめたものです。
保育施設 | 対象年齢 | 特徴 |
---|---|---|
デイケア(保育園) | 0歳~小学校低学年 | ・生後6週間からでも預けられる ・プリスクールと同じプログラムを実施している園も ・小学生にとっては学童保育のような場所 |
プレスクール(幼稚園) | 2~5歳 | ・午前に数時間といった感じで半日預かることが多い ・小学校の長期休暇と同じく休園期間がある ・様々な幼児教育プログラムを実施 |
キンダーガーデン(小学校初年度) | 6歳 | ・小学校初年度、義務教育の始まりの1年目を指す ・日本では年長クラスと同じ年齢の子どもが対象 |
アメリカでは、保育園に預ける人は、少ないです。子どもが0~1歳児の頃は、家族かベビーシッターに預けて、2歳あたりからプレスクールに通わせるという家庭が、ほとんど。
プレスクールでは、日本の幼稚園のように、音楽や運動、工作や勉強などの幼児教育プログラムを行います。
モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などを実施している園も多いです。
アメリカの公立小学校の入学は、日本より少し早めの6歳から。州によっては、5歳から入学できるキンダーガーデンも。
アメリカでは年齢よりも「子どもの個性・発達度合い」を重視した、多様性のある保育・教育が特徴です。
残念ながら、アメリカの保育士も給料が安いんです…。
2011年のアメリカ労働省のデータによると、
アメリカの保育士の平均時給は7.9~9.5ドル(800~1000円)。
スーパーのレジ係よりも安いという結果に…。ちょっとショックですね、、、。
ちなみに、プレスクールやキンダーガーデンの教員の時給は、3,000~4,000円が相場。何と、保育士の3倍の給料となっているのです!
かなりの格差ですね。
教員免許が、必須条件であるとはいえ、保育園との給料の差は、計り知れません。
安い給料に、ハードな仕事内容…。アメリカでも、日本と同じように離職率は、高いです。
近年、アメリカでは、慢性的な人員不足が問題視されています。何と、アメリカでは、保育士の離職率が日本の3倍なのです!
全米幼児教育協会の2004年のデータによれば、保育士の平均離職率は30%以上。ちなみに、日本の保育士の離職率は10%程度。
なぜ、アメリカでは、こんなにも保育士の離職率が高いのでしょうか?
それは、時給1,000円未満という低給料に加え、福利厚生制度がないことが、大きな原因です。
アメリカのほとんどの保育園では、
・健康保険
・年金
・研修費
上記を支援する福利厚生制度がありません。不安で仕方ないですね。。。
医療費が高額で、国民保険制度のないアメリカでは「保育職は、健康保険が職場から支給されない職業。働き続けるのは無理!」といって辞める人が多いのです。
今後のアメリカでの取り組みが、注目されています。
アメリカでは、プリスクールと同じような内容の保育をする保育園が多いです。
日本の保育園と同じように、年齢ごとの部屋に分かれていて、年齢に合った遊びや主活動が行われています。
アメリカの保育園の年中~年長クラスの1日の流れは、以下の通り。
9:00 | 登園 |
10:00 | 主活動(文字遊び、算数、音楽表現、工作) |
10:30 | 外遊び |
11:00 | 室内遊び |
12:00 | 昼食 |
13:00~14:00 | お昼寝 |
15:00 | おやつ |
16:00~17:00 | お迎え、自由遊び |
18:00 | 閉園 |
就学前に備え、文字の書き方や数の数え方などを学ぶほか、クッキングやグループディスカッションといった活動も行われています。
ディスカッションは、保育士が、子どもたちへ「今日の天気は晴れ?くもり?」「どんな服を着たらいい?」と問いかけ、子どもたちが答え、徐々に話題を広げていくというもの。
就学前の知識や、生活習慣の習得のほかに「コミュニケーション能力」にフォーカスした保育が特徴です。
日本にも、プレスクールやインターナショナルスクールがたくさんあります。
プレスクールは、外国人の講師が多数在籍している保育園や、日常会話のほとんどが英語という保育施設です。
日本人の保育士の募集もしているので、アメリカの保育園に興味がある人は、転職サイトを利用して、あなたにぴったりの保育園を見つけてみましょう!
参考文献:【アメリカ】 米国における保育の質研究-保育者の離職について