保育士の就職 公立私立の就職筆記試験 新卒、中途の流れ

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新卒、社会人で保育士に就職を目指している人

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保育士の今出川麗子です。

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  • 新卒、社会人で保育士に就職を目指している人

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保育士として就職を目指す場合、倍率や試験内容、探し方、など知りたいですよね。 新卒と中途採用の場合も採用までの流れや探し方などが違ってきます。 このあたりを知って就職を目指すのと知らなく就職活動をするのでは雪山に裸足で向かうようなものです。 もっといえば素っ裸で雪山を登山するようなものです。
保育士の就職筆記試験 公立、私立の内容や対策 就職率
公立でも私立でも保育園側は、保育士さんの資質を見抜いて採用していくのです。 それを見抜く方法が保育士の就職の際に行われる採用試験です。 採用試験では、筆記試験や実技、面接、実地体験などを総合して合否が決まりますが、その中の筆記試験は、保育そのものを問われる重要なポイントになります。 では筆記試験において公立と私立でどのような問題がよく出題されるのでしょうか。 その主な内容やポイント、また公立と私立の就職事情の違いについてご紹介します。
公立と私立の筆記試験の内容
公立の場合は公務員試験になります。 自治体により内容が異なりますが、基本的には1次試験が筆記試験で2次試験が実技・面接になっています。 筆記試験では、一般教養と保育教養(保育士資格試験程度の内容)になります。 ですから、公立保育園の採用試験については、日程等も含めて自治体によりますので、各市区町村の人事課に問い合わせることが必要です。 私立保育園の採用試験の内容は、園によって異なります。 筆記試験のある保育園では、公立同様に筆記試験と実技・面接に分かれています。公立でも私立でも実技試験についてはピアノの実技(教則本及び保育で活用する曲)は必ず行われます。(小規模園ではない場合もあります。)
ピアノを弾く女性
それぞれの筆記試験の内容の対策

1.一般教養

一般教養で出題される試験問題については、高校卒業程度の学力レベルと思っておいていいでしょう。 国語、英語、数学が中心になります。 出題の内容は、大学入試の基本的な内容(難問はあまりない)になります。 対策としては、新卒の方にとっては、卒業したばかりですからきちんと復習ができていれば問題はないでしょう。 中途採用の方の場合は、大学で学んだ内容を忘れているケースが多いです。 「保育の問題では、ほとんどできていたのに一般教養で点数が取れなかった」という方が多いです。 高3までに習う漢字や英単語、簡単な微分積分などの内容まで問われますので勉強をしておく必要があります。 そのために「保育士筆記試験対策」の本が出ています。 それで十分です。 もちろん同じ問題が出ることは稀ですが、基本的な内容がほとんどですので問題数をこなしておけば大丈夫です。
スーツ姿の女性

2.保育専門知識

保育士の就職における保育に関する筆記試験では、保育や福祉関係の知識が問われます。 これも新卒の方なら保育士資格を取られて間もないでしょうから有利です。 ブランクのある方は、スキルの面では大丈夫でしょうが、知識という点では、もう一度問題集などを見直す必要があるでしょう。 中でも保育一般、小児保健、食育などについてはしっかりと勉強しておきましょう。 福祉関係の出題もあります。 児童福祉や教育関係の歴史上の人物についてなどの基本的な内容を押さえます。 実は、保育園側も保育士試験などの過去の問題を参考にしている場合もあるようです。 ブランクについては保育士として復職 ブランク不安の解消法を実際に聞きましたをご覧ください。
公立、私立において就職率の違い
全国的に見ても公立保育園は少ないです。 給与面などの安定を求めるのなら「公立」ということになるのでしょうが、その就職率を見ますととんでもない倍率になっています。 例えば大阪市の場合、5名程度の募集に対して84名の応募があります。(大阪市 28年度:大阪市HP) この現状を見ますと、新卒であってもかなりの難関で、しかも、その採用試験では筆記試験、実技、面接において、高レベルの実力が要求されるということがわかります。 私立の就職率は、大規模園などで4月募集の場合には4~8倍です。 ですが、公立と違って中途退職者も多く、年度途中採用での募集も多くありますので比較的就職率は高いといえるでしょう。 さらに、小規模園などでは筆記試験もなく、面接のみで採用される園もあります。
公園の遊具で遊ぶ子供
保育士の新卒と中途採用の就職ポイントやスケジュールの違い

1.新卒と中途採用の就職ポイント

保育士の新卒の場合、保育園側が採用するときには、これからのことを含めて大きな期待を持って採用します。 では何を期待するのかご存知でしょうか。 上述した筆記試験の成績が優秀なことでしょうか。 もちろんそれもあります。 公立はもちろんのこと私立でも、筆記試験を実施している園では、保育についての知識は重要なファクターです。 しかし、就職のポイントは「この園でどれだけ力を発揮してくれるか」言い換えれば「この園の顔になってくれるか」ということです。 そのために、筆記試験はもちろんのこと、園児や保護者から信頼される保育士になってほしいという期待です。 新卒保育士の就職のポイントは、知識とスキルに加えて、信頼されるような人間性が大切ということになります。 公立では、中途採用であっても、その採用に大きな違いはありません。 例えば、能力的に同レベルの新卒と中途採用の場合なら、社会人としての経験のある中途採用の方を選ぶ場合もあります。 私立の場合、中途採用者を園が採用するときには、保育園側のさまざまな事情によって異なります。 主任級の保育士が退職した、園児増に伴って中堅の保育士が一人欲しい、来年度の人事を組むときに、新卒も欲しいが経験者も欲しいなどという事情です。 中途採用保育士の就職のポイントは、その園の事情に合った即戦力です。 園によって異なる事情に合った人が選ばれます。 いくらピアノが堪能であっても、主任級として活躍してほしいという事情がある場合には採用されないということになります。 さらには、保育経験が豊富なことや、新卒などの若手に指導もできる人材であって欲しいという望みもあります。 中途採用については保育士中途採用の面接と志望動機の対策 圧迫面接って当たり前?をご覧ください。
給食を運ぶ女の子

2.新卒と中途採用のスケジュールの違い

公立の場合には、保育士資格を持って採用試験を受験、合格すればいいのですから、新卒であれ、社会人であれ、自治体の募集要項にしたがって受験すればいいということになります。 しかし、難関であることは前述しました。 私立の場合は、4月採用の場合もありますし、保育士不足の事情で常時募集しているところもあります。 中途採用者は、園の選択をしっかりとした上で、スケジュールを立てていく必要があります。
採用側から見た新卒と中途採用の違い

1.人物の評価

新卒の人に多くを望むのは無理でしょうか。 しかし、採用者側が最も重視するのが、この人物の評価なのです。 この要素には、新卒も中途採用もありません。 ただ、採用側はなかなか見抜くのは難しいといえます。 筆記試験や実技はもちろん、短時間の面接では難しいのです。 だからこそ、短時間の面接で「あなたという人物を大きくアピールすること」が大切になります。 新卒の場合には、やはりフレッシュさをアピールしましょう。 若さ、知識、バイタリティー、やる気あふれる人物であることを強調してください。 採用側は、新卒にスキルを入職後に教えていきます。 中途採用の場合には、任せられる人物であるという印象が重要です。 落ち着き、深い知識、対応能力などを求めます。

2.経験の評価

経験では、中途採用が有利でしょう。 まず、保育士の転職であれ、一般企業からの転職であれ、社会人としての経験が大きいことがあげられます。 保育士として経験があればなおさら有利になります。 ただ、ここで注目して欲しいことは、採用側は、中途採用の場合には、その人の経験が、社会人や保育士としてよい経験(実のある経験、園で生かせる経験)をしてきているかを見るということです。 経験はあっても、新卒でもすぐに身に付けられるような経験では、返ってマイナス評価になることがあるということです。 例えば、保育園の転職の場合には、前園での働きで園児や保護者、同僚との関係がうまくいかなかったような経験では意味がありません。 保育士の資質を身に付けた経験でなければなりません。
手をつないで歩く園児

3.知識・スキルの評価

新卒の場合には、大学でしっかりと保育を学びました。 また、保育実習に行って現場をしっかりと見てきたことでしょう。 ですから、最低限の知識やスキルは付けています。 知識やスキルは即戦力といえます。 中途採用の場合、特に保育士の転職では、スキルは経験によってアップしています。 ただ知識は、大学を出て少し時間が経ってしまっていますから、弱いところです。 中途採用の場合、その弱さをカバーするためには、保育士として役に立つ資格などの取得があればいいでしょう。 掲示などに役立つPOPデザインや園児や保護者対応でも役に立つ心理学などの資格です。 新卒にはない教養の高さをアピールできるように準備しておくことが大切です。 スキルアップについては【転職にも役立ちます!】保育士がスキルアップする為の資格をご覧ください。
子育てがうまくいくイメージ

4.社会人としてのルール・マナーの評価

中途採用者の強みと言えます。 社会人になりますと、お給料をもらって働きますから、その勤務先のルールやコンプライアンス、人間関係の大切さなどを学んできています。 保育園では、一般企業以上の守秘義務やコンプライアンスが求められますので、前職がどんな仕事であったかも評価の対象になります。 では、新卒の場合はどうでしょうか。 保育園に入ってから学ぶ・・・それでいいのですね。 大学を出たてではあるけれども、最低限のルール・マナーがわかっているというところを、面接等で示すことができればいいでしょう。

ここまでのまとめ

前半では

  • 保育士の就職筆記試験 公立、私立の内容や対策 就職率
  を詳細にお伝えしました。 公立対策を考えている保育士さんは参考にしてください。
新卒と中途のスケジュールの違い
保育士の就職のスケジュールの違いは公立の場合、新卒が4月採用されるというケースがほとんどです。 上述しましたが、公立では、中途採用はないと考えてください。(採用試験に合格後採用されず、勤務地待ちになる場合がある)私立の場合には、新卒と中途採用では、明らかにスケジュールが違います。 新卒の場合、大きな園の場合には、大学在学中に保育士資格を取得し、卒業前の12月ごろに内定をもらうことになります。 小規模園でも遅くとも2月には内定し、4月からの保育業務の準備を始めます。
グラフ
また、新卒の応募においてはなかなか希望の保育園への就職が難しいです。 ある私立の保育園では、8月から12月に次年度の募集を始めます。 新卒の方は、大学生ですので少しでも早く応募園を探したいものです。 しかし、大学では保育実習を受けた園のことしか知らず、どの保育園に応募すればいいのかがよくわからないということもあるのです。 ですから、2つ、3つの園を訪問して自分の力が発揮できる園であるかを見極めなければなりません。 できるだけ早い段階から希望の保育園の募集要項を取り寄せ、計画を立てて複数の園を受験することをおすすめします。 中途採用の場合には、インターネットの保育士サイトやハローワークで探さなければなりませんが、今の職場で働きながら探すことが多いです。 今働いている職場の理解を得て就職活動をすることになります。 必ずしも年度の変わり目に採用されるわけではありません。 年度途中に、保育園の事情で募集が行われ採用となる場合も多いです。 もし、社会人として働きながら応募する場合には、そのスケジュールは複雑になり忙しくなります。 退職手続き(書類や引継ぎ)を進めると同時に、転職活動を行わなければなりません。 2つの職場(今の職場と応募する保育園)での日程調整をしっかりとしながら、保育士としての勉強もしていかなければならないということになります。 以上のように保育園では、一般企業のように就職のスケジュールを立てるときに、4月をゴールにして立てるだけではありません。 保育園でも年度の変わり目には、やはり人材ニーズは高まります。 しかし、年度途中の退職者も多く、人員の入れ替わりがいつ発生するかがわからないのです。 保育士は就職活動としては特殊であるといえますね。 年度途中の転職については保育士が年度途中で退職 転職に影響は?そもそも退職出来る?をご覧ください。
手を洗う子供
新卒の就職の疑問 成績や大卒、専門卒で就職率は変わる?
「保育士就職率100%!」という見出しをアピールしている大学や専門学校があります。 今の社会情勢を見ても、少子化といいながらも保育園不足が問題になっています。 一方では保育園でも、潜在保育士が多くなり保育士不足で頭を抱えています。 ただ、子どもは減ったものの、共働きの家庭が増えたことは事実で、保育園を利用する保護者は毎年増えていることは事実です。 実際、多くの求人情報が大学や専門学校の掲示板を埋めています。 全科目免除者は100%です。(保育士試験の通常試験の合格率は22%) 保育士試験の実施状況(厚労省 平成27年度) 実習などを保育園で行うことにより、学校には地域の保育園などから多くの求人が寄せられます。 専門学校や短期大学では、2年間の勉強の中で保育のカリキュラムをこなすことになりますからかなりハードです。 しかし、その2年間でがんばれば、保育士資格を取得し保育園に就職できるのです。 4年制の大学では、保育士資格取得者の就職率が100%という結果が公表されています。 しかし、保育園側は、4年制大学出身者には、短大や専門学校出身者よりも給与を多く支払わなければならない傾向にあります。 ですから、4年制大学卒業者を敢えて採用しないという方向にあるのも事実なのです。
元気に飛び回る子供たち
私の就職体験
私は短期大学で保育士資格を取得し、保育士として働いています。 2年生の中ごろに保育実習をさせていただいたA園でお世話になっています。 いろいろありましたが、最終的に規律を重んじるA園でお世話になることにしたのです。 実は、私は3つの園を候補にしていました。 A園は実習でお世話になってよくしていただきましたので、行きたかったのですが、私の転居の都合もあり遠いというデメリットがありました。 B園は、転居先に近く中規模の園でした。 ただ園見学をさせていただいたときに「新卒の人は頼りない」というレッテルを貼られているように感じ、実際4月に3人を募集していたにもかかわらず、3人とも中途採用のような形で、経験者が欲しいようでした。 C園は、通勤にも程よく、園長先生をはじめ見学というだけなのに手厚く迎えていただきました。 しかし、職場の雰囲気を見ていますと、あまりにも馴れ合いな雰囲気を感じたのです。 保育園ですからそれでいいのかもしれませんが、この雰囲気の中に自分が飛び込んでいったら、保育士として目指していたことが十分できないのではないかという思いになったのです。 結局、通勤に1時間以上もかかりますが、A園に決めたのです。 就職活動で感じたことは、B園のように、4月採用で、新卒だから取ってくれるというものではないということです。 4月であっても経験者がほしいという園もあるということです。
私は、4年生の大学を出ていますが、今私立の保育園で働いています。 実は公立の保育園の採用試験に落ちてしまったのです。 公立の採用試験は夏から始まりました。 一次試験(筆記試験)は合格したのですが、やはり二次試験の実技、苦手なピアノで落とされたのではないかと思っています。 公立の場合は、筆記試験の内容は基本的なことでしたので、大学を出たばかりの私にとっては比較的楽でした。 しかし、実技、面接は厳しく、就職率の低さもあって採用にはなかなか至らない旨の説明もありました。 公立不採用の結果のわかった11月に私立の募集要項を見て応募しましたが、「すぐにでも来て欲しい」というほどの勢いで「合」通知が来たのです。 その時、私学の保育園の就職事情というものが見えたような気がしました。 保育士不足といわれる昨今、不足しているのは事実なんだという実感でした。 公立に挑戦してからでも、私立への就職は間に合うということがわかりました。』
私は、長年ピアノを習ってきましたのでそのスキルには自信がありました。 そのスキルを生かして保育士になりたいと思ったのは、あるテレビ番組での保育士さんの特集を見たときからです。 小規模園で一人一人の園児としっかりと向き合っている保育士さんの姿に感動でした。 安定した公立の園に行きたいという思いで、大学も教育系を選択し日々、必死で勉強をして何とか採用試験に合格することができました。 市内で8人という狭き門だっただけに、喜びはすごかったです。 今、働きながら思うことは、公立であるからこそのコンプライアンスや服務の厳しさです。 でも、園児一人一人と向き合える、アットホームな園を実感しているのも事実です。 お母さん方がお迎えに来られたときにお話をしたり、小学校の先生との交流も あったりして充実した毎日を送っています。 保育士という仕事を選んでよかったと思っています。』
この3人の方の体験談を見ますと、4年制の大学を出て難関の公立保育園を選択するのがべストなのでしょうか。 公立の保育園のメリットは、もちろん安定です。 お給料、保険、福利厚生などの待遇面はいいでしょう。 しかし、デメリットは、絶対数が少なく、難関である以上に保育園を選べないということです。 新卒と中途採用については、保育園事情によって違ってきます。 採用側が求めている人材に合致すればすぐにでも就職できます。 しかし、そうでなければ就職活動が長期に渡る場合もあることは心しておいてください。

ここまでのまとめ

後半では

  • 新卒と中途採用の就職ポイントやスケジュールの違い
  • 新卒の就職の疑問 成績や大卒、専門卒で就職率は変わる?
  • 私の就職体験
  をお伝えしました。 スケジュール1つとっても中途採用と新卒とでは異なります。 新卒だから中途採用だからというメリットデメリットはそれぞれです。 アピールすべき点を知り就職を目指しましょう。 中途採用から就職先を探している方は保育士求人プロへご登録ください。

※このコンテンツは保育士の方に作成していただいています。

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